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Fate/stay night 概要 ストーリー 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 Fate/stay night [Réalta Nua] 概要(非18禁版) シリーズについて Fate/stay night 【ふぇいと すていないと】 ジャンル 伝奇活劇ヴィジュアルノベル ※DVD版 ※復刻版 対応機種 Windows 98~XP 発売・開発元 TYPE-MOON 発売日 CD版 2004年1月30日 / DVD版 2006年3月29日 定価 【Win】8,800円(CD・DVD共通) レーティング アダルトゲーム 備考 CD初回版に設定資料集「Fate/Side material」付属公式通販特典に小冊子「Fate/side side materiale」付属 ポイント 燃えとグロが交差するシナリオ以後一大ジャンルとなる歴史人物を利用した 聖杯戦争 判定 良作 Fateシリーズ 少年はその日、運命と出会う――― 概要 有限会社ノーツのゲームブランド「TYPE-MOON」の第1作。同名の同人サークルでビジュアルノベル『月姫』を製作したメンバーによる商業初進出作である。 『月姫』と同じ形式のビジュアルノベル作品であり、「18禁のアダルトゲーム」というカテゴリに属してはいるが性的描写は控えめで「ストーリー、設定面に比重を置いた伝奇活劇物」の色が濃い。 後年発売されたファンディスク『Fate/hollow ataraxia』も合わせた販売累計は約40万本にも及び、アダルトゲームの実販売数が集計されるようになってからは(2011年時点でも)最高の売上を誇っている(*1)。 そのヒットの余波は凄まじく、本作発売当時はコミケを筆頭とする同人誌即売会をFate一色で埋め尽くし、普段アダルトゲームをプレイしない層にも「名前くらいは聞いたことがある」ほどの知名度を獲得する有名作の1つとなった。 ストーリー 現代。我々の生きる世界の裏で、かつて歴史の表舞台から追放された「魔術」をはじめとする異能の術は、人々の目を逃れて今なお存続していた。 日本の冬木市に住む主人公の衛宮士郎は、穂群原学園に通いながら日常を過ごしていた。 世話焼きの後輩である間桐桜、テンション高めでおっちょこちょいな隣人にして教師の藤村大河、堅物気味だがよき友人である柳洞一成…そんな人々に囲まれ、士郎は「正義の味方になりたい」といういささか奇妙な志と、「強化」と呼ばれるちょっとした魔術を扱える点以外は、概ね日常の側にいる人間として学生生活を謳歌していた。 しかし、彼の日常は、ある日突然非日常へと転落する。 夜の学校で偶然目撃した、青い槍兵と赤い外套の男。尋常ならざる力で戦う二人の異形を目撃した士郎はその戦いに巻き込まれ、青い槍兵に刺殺されてしまう。しかし士郎は学園でその名を広く知られる優等生、遠坂凛によって蘇生され、一命を取り留めた。 士郎はワケも分からぬまま一度帰宅するものの、執拗に彼を追い続けた青い槍兵により再び命を狙われる。 必死に防戦するが力量の差はいかんともしがたく、止めを刺されようとしたまさにその時、彼の前に1人の美しい剣士が現れた。 「問おう 貴方が私のマスターか?」 それは「聖杯戦争」と呼ばれる、万能の願望機を巡る戦いの幕開け。 衛宮士郎は「剣の騎士」のサーヴァント・セイバーを偶然とはいえ召喚してしまったことで、否応なくこの戦いに身を投じる事となる。 7人のマスターと、7騎のサーヴァント。彼らの聖杯に込める願いをかけた戦いが始まる…。 特徴 プレイヤーは基本的に主人公「衛宮士郎」の視点を軸に物語を追体験していくことになり、途中で出現する選択肢によってストーリー及びエンディングは変わる。 ストーリールートは主に3つあり、それぞれサブタイトルと話の核になるヒロインが異なる。それらルートは初めから全て自由に選択できるわけではなく、一つのルートの正式なエンディングを発見するごとに順次解放されていく。 すなわちゲームの進行は多彩なBAD・DEADエンド行きを除けば、実質一本道といっても差し支えない。第2ルートと最終ルートでは正式エンディングがGOOD・TRUEの2通りずつあるので、エンディングは計5つとなる。 上記のとおり、ストーリーの骨子は、『仮面ライダー龍騎』『ローゼンメイデン』等に見られる「自分の願いを叶えるために、人間離れした能力を持つ者同士が命を賭して戦う」という、アニメ・ゲーム等の業界ではポピュラーな展開である。しかし、シナリオ担当の「奈須きのこ」氏による一癖も二癖もある文章と歴史伝承を多々交えた設定により、既存のそういった作品とはまた異なる趣になっている。 特に小説『魔界転生(*2)』をオマージュしており、各部分にリスペクトされている。 独特なファンタジー用語の解釈をちりばめたテキストと、重めで「厨二病テイスト(*3)」全開な表現が最大の特徴。全体的に複雑な傾向にある各キャラクターの心情もあいまって、「きのこ節」とも呼ばれる作風を世に知らしめた。 聖杯戦争 7人の魔術師と7騎のサーヴァントが争い、最後に一人になると万能の願望機が召喚され願いが叶うという物。要は バトルロワイヤル である。 本作の主人公「衛宮士郎」はこの戦争に巻き込まれることになる。 サーヴァント 世界に名を馳せた過去の人物達・英霊が サーヴァント (使い魔)として召喚されることになる(*4)。 キリスト教圏内に歴史的な知名度があれば史実での実在・非実在の有無は関係なく召喚されうる。また、「宝具」という生前の逸話や伝承からなる武装/必殺技を共通して持っている。また『セイバー』『ランサー』など得意戦術に応じたクラスと能力傾向を与えられ、生前の名前や宝具は隠し仮名としてクラスで呼ばれる事が多い。 基本的に「FATE(悲劇)」の生涯を送った英霊が召喚されるため、彼らの多くはその生前の悲劇を変えたくて参戦することが多い。 評価点 キャラクターの魅力 どのキャラクターも独自の個性を持ち、良い味付けがなされている。しかもルートによって大きく描かれ方が違い、3つのルートを用いてキャラの心情が深く掘り下げられている。そのためメインキャラといえる「7人のマスターと7騎のサーヴァント」は誰もが人気が高い。 その中でもやはりメインヒロインの1人であるセイバーの人気は抜きん出ており、人気投票となるとFate勢でまず1位に輝いていたほど。その人気ぶりは奈須氏に「そんなに金髪美人が好きか」と叫ばれたとか(*5)。 男性向けアダルトゲームであるにもかかわらず、男性キャラの人気も高いのも異色といえる。男性キャラの1人であるアーチャー(遠坂凛のサーヴァント)に至っては、人気投票の度にヒロインを差し置いて高順位にランクインしている(*6)。 それぞれのマスターの人間関係は姉妹、兄妹、クラスメイト、教師、片思いの思い人など、主人公衛宮士郎を中心に複雑で絡み合い、人間ドラマを演出している。 サーヴァントにはTRPGを意識したキャラステータス画面が用意されていて、能力解説などが記載されている。歴史上及び伝説上の人物ということで、背景や生い立ちもしっかりとしている。 ただ単に歴史上の人物をそのまま使っているわけではなく、あくまでも 『Fate』シリーズのキャラとして 、オリジナル要素や歴史的な解釈も混ぜながら巧みに仕上げている。それがまた本作/本シリーズの特徴となっている。 具体例を挙げれば本作のヒロインのセイバーはとある伝説上の人物を「女性」に変更しており、作中の世界ではそれに準じた伝説が残されていると変更されている。この女性化も伝承や史実を世襲しながら変化しており、ある程度違和感の無いようにしてある。その後、他作品のアニメやゲームで似たような歴史上の人物の女体化がブームとなったが、女体化の設定まで作りこまれているという点で他作品より一線を画す作品として一目置かれている。 上述通り、サーヴァントは生前に悲劇的な生涯を送った英霊が多く、前世の記憶を保ったまま現代に召喚される事が多い。その過去の背景を世襲しており、そこから戦う理由も個々に設定されている。 マスター・サーヴァント以外のキャラもしっかりキャラクターが練り込まれている。本編ではあまり出番のないキャラでもファンディスクなどでエピソードが与えられているため、埋没しているキャラは事実上いなくなった。 「燃え」と「グロ」が織りなすシナリオ 少年誌のような熱いバトル展開、そしてアダルトゲームという媒体をフルに使用して描写されたグロ要素。二つの要素はミスマッチしながら、"戦争"と題されるものの残酷を表現しつつ、他には無いオリジナリティを発揮している。 上記の作られた人間関係、二点三点する展開、驚嘆の真実などなど最後の最後まで引っ張れる脚本力は見事というほかない。 魅力的な聖杯戦争 『魔界転生』をオマージュして作られたという聖杯戦争の設定は非常に秀逸。 「過去の英雄達の霊を 使い魔 (サーヴァント)として共に戦い、最後一人の生き残りを賭けて争う」という主軸、そして緻密に練られた設定と世界観に多くのファンが熱中した。 その中でも好評を得ているのが、 サーヴァント (使い魔)の設定である。彼らのよく作られた設定は『Fate』シリーズの魅力の1つとなっている。 特に過去の英霊の真名は最初は隠されているが、伏線があり、物語を進めると彼らの「願い」「宝具」などが序々に明かされるという部分が、世界史マニアや歴史マニアなどを魅了。そこから「真名当て」という推理小説のような楽しみ方が行われる事となった。 多彩に設定された世界観 聖杯戦争以外の設定も秀逸であり、魔術や道具、技術などもそれぞれ練られた設定を与えられている。魔術に至っては非常に細かく、過去TYPE-MOON作品の世界観設定も交え何故魔術師が生まれたのか? というところから作られている。 また、本作の多くのキャラクターに多大な影響を残す10年前の事件(第4次聖杯戦争)の構想がすでに出来上がっていることもわかる。これを抽出した単独作品がその後のメディアミックス作品『Fate/Zero』である。 さらには少ししか出ないクラスメイトなどの名前や設定が作られている凝りようである。 戦闘シーンの演出 複数の攻撃エフェクトCGを連続して切り替える、立ち絵を躍動感ある動きで移動させる等して、アニメーションとビジュアルノベルの間に位置する臨場感の妙を生み出している。 意外にもそれまではカットイン、小コマ、ホワイトアウトなどの手法がほぼ全てだったADVにおいて、特に戦闘シーンを含む臨場感のある演出は頭打ちに近かった。そのような情勢で生み出された本作の演出は、ADVにおける新しい演出の形を示したと言える。 『Fate』発売以降、いわゆるバトルありのノベル作品において本作に倣った演出スタイルを取り入れた作品が増加したことから、その影響の大きさが窺える。 一服の清涼剤「タイガー道場」 本編では殺し合いをしているため全般的に雰囲気は重い。当然ながら生死を分ける場面で選択肢を間違えたら即アウトとなる。この正規エンディングに至らない打ち切りを経た場合、「タイガー道場」という本編と全くテンションの異なる救済コーナーが登場する。 名目上はバッドエンドの原因をプレイヤーに告知するコーナーなのだが、その真骨頂は明らかにタイガー&ブルマ(それぞれ本編に登場するキャラによく似た誰か)のはっちゃけたショートコントである。その内容はルートのネタばれ上等&メタ発言全開、おまけに他所のゲームのネタまでありとカオスの極み。それが全てのバッドエンドごとに作られているため種類もかなり多く、挙句の果てに全て発見すると特典映像・ストーリーのまとめまで解禁される。「(褒め言葉として)スタッフは力を入れる所を間違えてるだろう」と言われることも多い。 アダルトゲーム界隈では選択肢過多やバッドエンド過多は批判されがちなのだが、本作の場合はタイガー道場を緩衝材・兼隠し要素のトリガーにすることで好意的な評価へと昇華させているといえる。 ちなみにTYPE-MOONではこの類の要素は本作が初というわけでもなく、同スタッフ製作の同人ゲーム『月姫』の時点で存在していた。やけに凝った趣向も含めて。 賛否両論点 主人公の性格 先にも少し触れたが、プレイヤーは士郎と視点や心情を共有しつつ選択肢を選んで物語を進める。 それ自体は他のゲームでも見られる光景だが、彼は無個性型の主人公ではなく、作中のヒロインをして「歪んでいる」と言わしめる程に自己犠牲を厭わぬ"献身的な"性格の持ち主であり、そのような彼の歪みとそれの変化は実質的にこの物語の主題として、3ルートを通じて描かれる。 そんな彼に自己を投影できるプレイヤーや、彼をある程度容認して物語を進められるプレイヤーには問題ないが、馴染めない人には相当厳しい。個性派主人公のゲームは概ね人を選ぶものなので、好みの問題と割り切って考えられることもある。と言っても作中を見ればわかるが、基本は常識人であるためそこまで偏ってるわけでもない。 + ネタバレ 初めにプレイするルートでは「単独行動をして捕まる」を二度も繰り返すことになる(*7)が、そうしないと飽きた敵が殺しに来るDEAD ENDが組まれている。聖杯戦争の戦闘を経験した状況でのこの流れは非難されやすいポイントの一つになっている。 テキスト・シナリオに癖がある テキスト量が多く、全てのルートをクリアするのにかかる時間は平均でも60時間以上と言われており、ノベルゲーとしてはかなり長い方である。 後発の『Realta Nua』ではフルボイスが実現しているのだが、ボイススキップをしなかった場合プレイ時間はさらに膨れ上がる。 好意的に受け止めた人が多い一方、一見して厨二病(誤用)のようで、かつ回りくどい表現で構成されるテキストの連発に否定的な評価を下す人も多かった。 もっとも『幽☆遊☆白書』や『BLEACH』等の週刊少年ジャンプの大ヒット漫画でも使われていた手法であり、それを百も承知で作られた本作にとっては当然の結果である。ちなみにアンチが多い点も本作品と共通している。 そんなテキストで構成されているので当然と言えば当然だが、シナリオへの評価も毀誉褒貶が激しい。それとは別に「Heavens feel」と題された、とあるヒロインを主軸にした最後のルートに関しては、特にその展開から好みが分かれる傾向にあった。 + Heavens feel詳細: 超ネタバレ注意!! 簡単にまとめると、聖杯戦争の根底事情が今まで以上に明かされ、他ルートと全く毛色の異なる展開が目白押しのルート。 一見すると他の2ルートを否定してしまうような展開、全体的な雰囲気が暗い、また説明が他のルートと比べて多く時間が掛かる点などが主に評価を分けている。 Heavens feelの主な賛否両論点 遠坂凛の実妹、間桐桜に関わるグロテスクな要素 ルート中盤で、このルートのヒロインが抱えている重大な真実と絶望(加えて暗躍する黒幕の存在)が初めて明かされる(*8)。このHFルートでのみ判明するヒロイン周辺の設定は正にこのゲームで描かれた聖杯戦争の根幹をなす設定がある程度含まれている。詳細は伏せるが、その内容は18禁であること以上にインモラルかつグロテスクなものである。その時に見せる彼女の変貌/豹変ぶりも、このルート、いわんや奈須きのこ作品において外す事はできないほど有名であり、これについていけないプレイヤーも少なくなかった。それまでの2ルートにも殺し合いやエロはあったものの、それらと全く方向性の違うグロ要素が突然現れるため、18禁指定のゲームとはいえグロが無理な人は注意すべきであろう。なお、この部分に関しては外伝(全年齢作品)である『Fate/Zero』でも詳しく触れられている。 Fate及びUnlimited Blade Worksで間桐桜が救われてない可能性の示唆 ヒロインの隠された真実を知ると、他のルートで自分なりの答えや幸せを見出した主人公及びそのパートナーのエンディングでは、彼女は真実を秘めたまま救われずに終わる可能性を暗示させられてしまう。 要するに、今までのハッピーエンドに泥が塗られてしまう可能性が存在する。一応、関連書籍などでこの辺りの決着が数年後に着けられ、彼女が救済される事は示唆されているのだが、このように本作には事後発売された書籍などに解説を託した要素がこの時点でも多く存在する。 他ルートでの出番の少ない間桐桜 彼女は他の2ルートでスポットライトの当たる機会が少なく、中盤あたりで事実上フェードアウトしていた。彼女の事情もあるが他の2ルートのヒロインは自分のルート以外でも縦横無尽に活躍しているのに対して、最終ルートでしか彼女にスポットは当たらない。このことが彼女になかなか愛着を持てないプレイヤーが居る理由となっている。 他のルートとは異なる衛宮士郎の選択 以前のルートでメインヒロインを貼り続けていたセイバーが、「Heavens Feel」に限り主人公の敵に回る上に絶対に助けることが出来ず、自身で手を下す選択をせねばならないため、それまでのルートで彼女に強い愛着を持ったプレイヤーの中にはこの選択を受け入れがたいものとする人も少なくない(*9)。 またヒロイン以外にもこのルートでは前のルートで活躍していたキャラが次々に死滅していく展開でもあるため、そこで雰囲気が暗くなってしまって合わないという人もいるようである。 また、このルートの間桐桜の真実を知った衛宮士郎は彼女の為にこれまでの2ルートで見せたものとは異なる決断をする事になる(*10)のだが、それは これまでのシナリオの衛宮士郎の信念を一見否定するようなもの であった。 ルートごとに状況が独立している上、他のルートとはその様相や展開があまりに異なるので、選択が異なる事自体は自然では有るが、 プレイヤーだけはなまじ他ルートのことを覚えてしまっているがために ついていけなかった…という場合もありえる。 最終ルートらしからぬ展開 詳細なネタバレは省略するが、上記の展開故にグランドフィナーレが「全ての仲間、ヒロインが生き残るわけではない」ことに微妙な後味を残すプレイヤーも存在する。最終ルートであるがゆえにこれまでのルートで救済されていなかったキャラクターが救済されると期待したプレイヤーも居たようである。 このルートで全ての謎が解明されるため「本ルートのトゥルーエンディングが本作の真のエンディング」と思うプレイヤーも少なくないが、製作側は「あくまで全てのルートの可能性が等しく存在する」と言う旨の言葉を残していた(*11)。とはいえこれまでのルートでは前述のように本当の解決は数年後に持ち越される点、エンディングの演出(*12)が唯一異なる点などから、やはりこのトゥルーエンドが文字通りの正史だととられやすい。 最終ルートだからこそのどんでん返しの連続で、プレイヤーは意表をつかれ、実際にその点を評価し、好意的に受け止めているプレイヤーも存在する。しかし、HFルートまでに数十時間プレイしてきて愛着も沸いて来たキャラの急激な方向転換、そして前述したような別離に対して、「ついていけない」プレイヤーもまた少なくない。 問題点 一部キャラに関しては批判的な意見が多い 独自の個性を悪い方向で発揮しているキャラも多少いる。特に間桐家の人々はどいつもこいつもアクが強い。 その代表が間桐慎二。日常における彼は主人公の学友なのだが、弱者を見下したり乱暴する描写が目立つ上に、主人公に対して高圧的な態度をとってくる。唯我独尊が透けて見える一方で権威主義な傾向があり、作中で何度もサーヴァントの威を借りるシーンが存在すると、いわゆる小物キャラである。 「Heavens Feel」では、それまでのルートでは明かされなかったその悪辣な所業(DVまがいの苛め行為や 強姦 など)が明らかになる為、間桐桜が好きな人は勿論、そうではない層からも殊更に叩かれている。 こんな性格になった理由はルートの1つで明らかになるが、それでも「同情の余地はない(*13)」「死んで当然」という意見が大勢であった(*14)。しかしその小物ぶりが逆に愛嬌となっており、後日談や外伝では「ワカメ」の愛称で個性的な扱いを受けることになる。実際に劇場版『Heaven’s Feel』公開後は彼の境遇を理解し、哀れむ意見も増えてきている。 またゲームより数年後に出た漫画版およびファンディスク『Fate/hollow ataraxia』では「良さ」を感じさせるエピソードも導入されている。 + ネタバレ プレイヤーに嫌われる悪役というのは、物語などにとってはむしろ長所になりうる。にもかかわらず彼が何故これほどの批判に晒されるのかと言えば、 ルートの1つの最終決戦においてこの小悪党を主人公達がわざわざ助けねばならない ため。嫌いな人はもちろん、そうでない人にとってもカタルシスの大きな欠如が問題となる。もっとも、それ以外のルートでは外道な悪党の末路に相応しい死に様を見せる為、プレイヤーの溜飲を下げてくれる展開はきちんとある。 また、このルートでは救出された後に「まるで憑き物が落ちたようだ」と改心した事が示唆されているため、全く救いが無いわけでもない。 嫌われがちな理由の中でも特に大きな要素として、彼はほぼ完全な悪役の立ち位置であるにもかかわらず、主人公が自分の親友のように扱い続けるという不満もある。明らかな悪行や主人公自身への辛辣な態度を見せ続けるのに、「あいつにも良いところはあるんだ」と主人公は主張しかばい続ける。しかし彼が本編中で実際に「良いところ」を見せるシーンが一幕たりとも存在していない。良いことをした過去の回想だとか、主人公が彼を気に入ったきっかけだとかの描写すら皆無。 なまじ主人公が友人として擁護し続けている相手のため、悪党の末路にふさわしい最期を遂げるシーンですら、すっきり喜べないという難点まで持つ。 余談だが開発段階では慎二と主人公が同盟を組みヒロインのマスターと敵対するルートもあったらしいが「野郎のデレなんざ誰得」と言う理由でバッサリカットされたらしい。 因みに、慎二と桜の祖父である間桐臓硯(*15)や桜の実姉である遠坂凛(*16)も、慎二ほどではないがよく批判される。 衛宮士郎の義父の実娘、イリヤスフィールが非攻略キャラであること 彼女はシナリオ全体でも重要な位置 (あっさり殺されたUBWと違い) を占めると同時にファンの人気も高い。そのため、彼女が非"攻略"対象であることには首を傾げる者も少なくない。 ただ実は、当初イリヤルートは「4番目のルート」として存在していたが、製作の長期化・同人から商業への作品仕様変更(*17)に伴ってボツになってしまい、展開の一部がHeavens Feelルートに統合されたという経緯がある。このこともHFルートが賛否両論となる原因の一つである。TYPE-MOONは大手ブランドの割に人員がそれほど多くないため、マンパワー的に取りうる選択肢は限られていただろう。 その後DVDリマスター版や全年齢版(PS2)、分割DL版が出された際も結局追加されることはなかったが、これもまた、前述のマンパワーの問題に加えて一度HFルートに統合してしまったため新ルートとしての独立化が難しいという事情もある。 個別ルートの有無とは関係なく、HFルートにおいてもイリヤはすでに重要な役目を果たすキャラとして完成されている。衛宮士郎の恩人である衛宮切嗣とイリヤの繋がりもここで明かされるため、当ルートの士郎にとってもイリヤの存在は大きい。 そういった事情を鑑みてもなお、ファンにとっては「エロシーンが無くてもいいから、イリヤのルートを追加して欲しい」と言う意見が絶えなかった人気キャラではある。ファンの希望もTYPE-MOONの事情も、どちらも納得がいくものなので難しいところであるが…。 キャラクターの見せ場 各キャラクターの見せ場はルートごとに分散されているため、ルートによってはほとんど活躍せずにフェードアウトすることがある。全ルートで例外なく活躍するといえるのは主人公と遠坂凛だけ。 加えてその遠坂凛のルート「Unlimited Blade Works」は「主人公ルート」とも言えるほど衛宮士郎にスポットが当てられたルートであるため、彼女の「ヒロインとしての出番」は少ない。「仲間としての出番」なら十分なので、決してキャラとして冷遇されている訳ではないが、その辺りが後述の「実用性」面での批判に繋がっているとも言える。 本来の意味での実用性 エロ要素はほとんどないに等しいため、「実用性」を期待した層からはあまり良い評価は得られなかった。 とはいえこれは発売前から予想されていたことであり、本作発売前に「エロゲだがエロの比重が重くない」作品もチラホラ現れていたため仕方の無いことだと言えるか。…それどころか「燃える」「感動する」という部分にシナリオの力点が置かれているため、「半端なエロ要素のせいで燃えに浸れない」とエロ要素が邪魔扱いされることすらある。 それを抜きにしても、第1ルート最初のエロシーンは場違い感があり「もう少し何とかならなかったのか」と言う意見も強い。作中でも随一の燃えシーンの後に挿入され、エロシーンを挟んで再び燃えシーンに突入するため、明確な理由があるとはいえかなり浮いてしまっている。 + アダルトゲームとして発売された理由 同人サークル時代に『月姫』を発売した際、「とりあえず手に取ってもらうにはエロがある方がいいだろう」と判断したから。つまりハナからエロスはオマケ扱いである。 なぜこうなったかというと、当時の日本のPCゲーム業界は「アダルトゲームでなければ商業流通に乗せづらかった」というとんでもない事態に陥っていたため。当時の実店舗は(マルチプラットフォームや洋ゲーを除くと)一般向けPCゲームは「日本ファルコム」「工画堂スタジオ」他社数点程度しか扱っていなかったのだ。そのファルコムでさえ2007年の『空の軌跡the3rd』をラストに販路を失い、「零の軌跡」以降はプラットフォームをPSPに移行せざるを得なかったほど。有名メーカーでさえこの有様だった時代、(同人時代の名声があったとはいえ)新規ブランドに過ぎなかったTYPE-MOONの作品は、エロが無ければ「客が手に取ってくれない」どころか「売り場に置いてさえもらえない」状況だったのだ。 「選択肢」のシステム面 本作における選択肢は基本的に「話が続く」か「バッドエンド直行」がほぼ全て。 戦闘中の生死を分ける決断ならばその構造もやむをえないが、これから戦いに赴く準備段階で二択・三択があり正解以外はすべて詰み、といったこともままある。 さらにその選択肢も選択すればどうなるか、といった点が予想しづらく、タイガー道場でヒントをもらっても「じゃあどれを選べばそうなるのか」はわかりにくい。結果として二択なら選択しなかった方、三択なら総当りで進むしかない。 タイガー道場自体もファンサービスやコントの面では高評価だがテンポが悪くなる、という批評もある。 スキップもできるが、コンプリート時の隠し要素があるので埋めざるをえない。 単独の作品として見た場合、設定の整合性が取れていない点が多い(*18) 分かりやすい例では「士郎の日常生活に関する独白」「心臓に必中するという設定の攻撃が回避されその理由が説明されない(*19)」「ある属性に特化しているから何とか実現出来た能力という説明がされたと思ったら他の属性でも使用可能」「一回(一瞬)の攻撃で何回も殺す(*20)」「ランクが1つ落ちると説明されていた偽物が本物と遜色ない上に最高ランクでないと突破できない肉体を貫く」「最優のサーヴァント且つ経験豊富であるセイバーの迂闊な行動の数々」「基本音速以上の速度且つセイバーの剣戟もしのげるキャラに対して一般人程度の強さ(それも一般人の中でも平凡程度とされる)の士郎が接近戦で勝利」など。 他にも多岐に渡り過ぎて書ききれないが、1つ設定が出てきたら後にそれに反する設定が出てくるなんてことが多い……というのを超えて矛盾が出ていない方が珍しいレベル。 総評 本作品はビジュアルノベルとしては高い評価がなされていることが多く、同ジャンルにおいての一つの重要ポイントとなった作品であることに疑いの余地はない。 それは後述する関連作品の多さにも現れているが、FD、PS2移植版、アニメ版、前日譚、設定資料集、そして外伝及び非常に多岐にわたる関連系列作品(≠続編)などが出ており、そしてそのうちのどれからFateに関わったかによってプレイヤーの感情が左右されることもあり、賛否両論点になりうる要素が非常に多い作品となっている。 めくるめくシビアな奈須ワールドに魅せられた方や、テンプレ通りのファンタジーな作品に飽きた方にこそ本作は読了されるべきだろう。 Fate/stay night [Réalta Nua] 【ふぇいと すていないと れあるたぬあ】 対応機種 プレイステーション2Windows XP~7プレイステーション・ヴィータ 発売元 【PS2】角川書店【Win】ノーツ(TYPE-MOON)【PSV】角川ゲームス 開発元 【PS2/PSV】ヒューネックス【Win】ノーツ(TYPE-MOON) 発売日 【PS2】2007年4月19日【Win】Fateルート 2011年12月23日UBWルート 2012年1月HFルート 2012年2月【PSV】2012年11月29日 定価 【PS2】通常版 7,140円 / 限定版 9,240円【Win】各ルート2,940円【PSV】パッケージ 6,300円 / ダウンロード 5,250円(いずれも当時税5%込) レーティング CERO C(15才以上対象) 廉価版 PlayStation 2 the Best 2009年6月1日/2,940円PlayStation Vita the Best 2014年9月18日パッケージ3,800円(税別)/ダウンロード3,500円(税8%込) 備考 PS2限定版はPSP『トラぶる道中記』が付属Win版はAmazon専売PSV版は『トラぶる道中記』『トラぶる花札大作戦』のDLコード付属 判定 良作 概要(非18禁版) レーティングがCERO C(15歳以上対象)に相当する一般向け版。 なお、[Réalta Nua]とはアイルランド語で「新しい星」を意味する。 一部のキャラを除きTVアニメ版準拠でフルボイス化が実現している他、CGやBGM、タイガー道場のパターン等が追加されている。 ストーリーもヤバめの表現がマイルド調整されている点とラストエピソードの追加以外は目立った改変は行われておらず、致命的な不具合や改悪点も無いため、総じて良移植に分類されるだろう。 余談だが、PC版の時点で圧倒的なボリュームと台詞数なので、主要キャラを演じた声優が 「タウンページ並みに分厚い台本を数冊渡された(要約)」 という旨のエピソードを雑誌のインタビューで答えていたとか。 + ネタバレ なお、本作のパラレル設定のスピンオフ小説『Fate/Apocrypha』のラストシーンは本作のラストエピソードのオマージュとなっている。 PS2限定版にはPCファンディスク『Fate/hollow ataraxia』のミニゲーム『トラぶる花札道中記』の移植であるPSPソフト『とびだせ!トラぶる花札道中記』がオマケとしてついてくる。 2011年12月23日から『[Réalta Nua]』をルートごとに分割、再編集したものがAmazonにてダウンロード販売されていたが、2016年現在は(それ以前から?)配信停止中。 2012年に発売されたPSVita版はタッチ操作・トロフィー機能に対応している他、オーケストラ調にアレンジされた新規BGMも収録され原作BGMと切り替え可能で楽しめるように。各ルートのオープニングアニメムービーを『Fate/Zero』のアニメ版を手がけた「ufotable」が制作、曲を「earthmind」が担当。その出来の良さは評判となった。 中でも好評となったのが上記で述べた桜ルートのオープニング「Another Heaven」。本ルートの雰囲気に非常にマッチしており、また「ufotable」による(劇場版を除き)桜ルート初にして唯一のハイクオリティなアニメーションムービーということもあって、再移植作でありながらファンの間で再び大きな話題を呼んだ。 2015年に『Unlimited Blade Works』のTVアニメ化に合わせてスマートフォンでも本作が配信決定。「Fate (セイバールート)」は当初期間限定で無料配信という予定であったが、現在は無料期間が無期限延長となっており無料でFateルートをプレイ出来る。「Unlimited Blade Works (凛ルート)」「Heaven s feel (桜ルート)」は有料分割配信されている。 また、廉価版以前のPSV版にはミニゲーム『とびたて! 超時空トラぶる花札大作戦』がプレイできるコードが同梱。PSV版『hollow ataraxia』にも同梱されているので、最後まで追うつもりなら廉価版の購入で問題ない。 こちらは登場チームが『Fate/Zero』を主としたスピンオフ作品のキャラクターに一新された完全新作となっている。 原作PC版を除き特にこだわりが無ければ、携帯機で手軽に遊べ、廉価版も発売されているPSV版か、セイバールートが無料となったスマートフォン版を選ぶのが現在もっともオススメ。 シリーズについて ルートへの賛否がヒロイン人気にも影響したのか、HFルートのヒロインにはメインヒロインなのに初期の人気投票でアーチャー(男)や自身のサーヴァントにすら負けたことがあるというネタがある。 それでも6位なので、人気が全く無いと言う訳ではない。そしてアーチャーも素で非常に人気の高いキャラである(*21)ため仕方ないと言えば仕方ない。何より人気が上位に及ばなかった背景にはそもそも全体的に出番が少ないからと言う、ルート賛否や彼女のキャラクター性と全く関係ない理由もある。 実際、その後の人気投票では大きく票を伸ばしている(*22)。 なお、こうした人気投票の結果とHFルートの賛否なども相まってか、長らく「ラスボス系ヒロイン」という半分ネタに近い扱いを公式からも受けられておりしばらくの間、派生作品では腹黒キャラとして登場する事も多かった。 言うまでもなく、ファンからはこうした扱いに賛否が上がっており、この扱いに引いた新規ファンも見られている。現在はシリーズの展開に伴いキャラクターの見直しが大分進んだこともあってか、度を越したキャラいじりは控えめになっている。 ちなみに、後に連載が始まった『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズは、当時からイリヤの熱狂的ファンだったひろやまひろし氏が事情を受けて打ち出したパラレルワールドのスピンオフである。 + ... 平凡な女子小学生として暮らしていたイリヤが魔法少女として戦いに身を投じるスピンアウト。公式シリーズとは設定が違うと明言されているが、イリヤの背負った背景やシリーズ全体の設定を踏まえた上での脚色がなされており、謎の少女「美遊」やもう1人のイリヤ「クロエ」などのオリジナルキャラも現在はFateファンから概ね受け入れられており、今や連載9年以上、アニメも4シリーズ+劇場化が決まっているなどの長期シリーズとなった。 『プリズマ☆イリヤ』はスマホゲーム『Fate/Grand order』でコラボを果たしており、あちら側準拠でのキャラの参戦も実現している。他、ニンテンドー3DSでゲーム化されたが結果は…。 主人公の姉代わりの女性もまたイリヤと同様攻略不可能となっている。もっともそのキャラは非日常のシーンにほぼ絡まない上、ゲーム中のおまけで「お前のルートなんぞプロット段階からない(意訳)」ときっぱりと否定されているが…。 現代で最も有名なエロゲとして『Fate』が挙げられることがある。 スマホゲーム『Fate/Grand Order』やアニメで新規のファンが増えたこともあり、「エロゲかどうかは知らないがタイトルは聞いたことがある」という人も多い。 また、それらの影響から本作及びFDの中古相場は変動しやすく、一時は定価を超えていた。18禁版はダウンロード版がないのも一因だろう。なおパッケージの売上はFDと合わせて40万本であるため、流通量はそれなりにあると思われる。 2019年6月28日に『Fate/stay night+hollow ataraxia 復刻版』が発売された。こちらはダウンロードカードであり、Windows10まで対応している。 2019年12月8日にNHN PlayArtとドワンゴが共同開発したゲームアプリ「#コンパス【戦闘摂理解析システム】」で後述に折りたたんでいる『Fate/stay night [Heaven s Feel]』枠からセイバーオルタとギルガメッシュが衝撃参戦。TYPE-MOON、又は原作がエロゲ作品の初参戦は衝撃を生んだ。これは第三章の映画宣伝も兼ねていたと思われる。 世界観 前作である『月姫』及び同作者による小説『空の境界』とは世界観が繋がっている…とされていたが、後の作品内で明かされた限りでも、一部キャラの立ち位置や世界全体の歴史などが大なり小なり異なる、いわゆる「パラレルワールド」という関係にあることが明かされた。つまり共通する設定もあるが、基本的には別のルートの話と思った方が良い。 この世界観、特にいわゆる「正史問題」にまつわる事柄は、後に型月なりの解釈を加えて『Fate/EXTELLA』『Fate/Grand Order』で重要ファクターの1つとして取り上げられることになる。 その後の展開 公式には「ファンディスクである『Fate/hollow ataraxia』をもってFate関係の展開を終了し、新作に取りかかる」とアナウンスしていた。しかし、その後もTVアニメ、家庭用移植、漫画、派生ゲームとFate関係の展開ばかりが続き、新作『魔法使いの夜』は2012年まで発売延期を繰り返したため、「Fateばかり作ってないで新作を出せ」とTYPE-MOONファンから度々言われていた。 誤解されがちだが厳密にはいわゆる「曲芸商法」ではなく、あくまで同一ではない派生作品やメディアミックスを主力展開にしたに過ぎない。要するに終了したのは『Fate/stay night』の公式直系作のみと言っていい。 また、他の『Fate』シリーズ関連作品も延期を繰り返していたため、新作の延期は一概にこのせいとは言い難い。それよりも、前述したTYPE-MOONの人員不足とライターの遅筆が原因であろうという見解の方が有力である。 2024年に『Fate/stay night REMASTERED』がSteam/Switchで発売予定。 『Fate/stay night [Réalta Nua]』がベースのリマスター版であり、英語・簡体字に対応している。 ネタバレの是非 長期シリーズ化された作品の常だが、本作品単体ではネタバレ警戒がなされている要素でも、後発の派生作品などであっさり公然化してしまっているケースが多い。特に引き合いにされるのは衛宮士郎とアーチャーの繋がりだろう。 + ネタバレの一例 本作におけるアーチャーの正体及び衛宮士郎との繋がりは『Fate』界隈では一般常識となっている場合が多い。今から本作に興味を持つ人なら、まず間違いなく彼の正体を知っていた上でプレイを始める事になるだろう。 実際にTVアニメ『Unlimited Blade Works』の時は、アーチャーの真名を知らない新規ファンと既存ファンの間でネタバレの是非による摩擦を生む事となった。 そしてスマホゲーム『Fate/Grand Order』においては本作に登場する全サーヴァントの真名がナチュラルに明かされている。『Grand Order』から本作に興味を持った人にアーチャーのネタバレを伏せても、効果は全くないだろう。一方で同作ではこの真名公開を逆手に取ったギミックも存在しており、ストーリー上の演出に一役買っている。 他にも遠坂凛と間桐桜の繋がり、イリヤと衛宮切嗣・衛宮士郎の繋がりなど『Zero』や『プリズマ☆イリヤ』などで公然化されている設定も多い。 アニメ版 本作はアニメも複数作成されている。 + 詳細 第1作(Fateルート) 2006年1月から同年6月にかけてスタジオディーンによって製作された。全24話。ファンからは「ディーン版」と呼称される事がある。 『Fateルート(セイバールート)』を主体に、原作では描写されなかったとあるサーヴァント同士の戦闘や、Fateルートでは出番がほとんど存在しない陣営との交戦などのオリジナルパートが追加されている。当時としては作画水準は高いものの、オリジナル要素の影響もあってかファンからは多少賛否はあるが、新規層の取り込みには成功した。 Fateシリーズで初めて声優がついた作品でもあり、本作の主要登場人物(サーヴァントとマスター含む)のCVは本作から10年以上変わっていない(*23)。 現在Fateシリーズのメディアミックスを担当しているアニプレックスとは関わりのないアニメなので、公式の場で語られる事は少ないが、後述の『ufo版UBW』と並んで『Fate』シリーズに触れる初心者向け作品として挙げられている。 劇場アニメ第1作(UBWルート) 2010年1月23日に劇場公開された。『UNLIMITED BLADE WORKS』ルートの劇場化だが、映画1作(約2時間)で終わる故にカットされた展開も多くファンからの評判はいまいち芳しくない。 しかし本作のメインビジュアルを担当した山中虎鉄氏は後に『Fate/Grand Order』に参加し、前半期ラスボスのデザインを担当することになる。 流石に映画作品だけあって作画は高レベルで纏まってはいる。 テレビアニメ第2作(UBWルート) 『劇場版 空の境界』『Fate/Zero』を担当したufotableによって、分割2クールのテレビシリーズとして放送。1stシーズンは2014年10月4日から12月27日まで、2ndシーズンは2015年4月5日から6月28日まで放送された。合計25話。 発売から10年経ったが故のオリジナル描写も多いが、ボリューム不足は改善され概ね好評。エピローグとして、原作では語られなかった「時計塔」での士郎と凛の日常が語られており、『Zero』に出たとある人物も成長した姿で登場。ブルーレイ特典ではアナザーエンディングも映像化されている。 劇場アニメ第2作(HFルート) 引き続きufotableにより、今まで表沙汰にされてこなかったHeavens Feelルートの初映像化が成されている。全三章。 全年齢である『[Réalta Nua]』準拠ではなく18禁版準拠のストーリー描写となっており、アニメシリーズでは初となる濡れ場も描かれ話題を呼んだ(*24)。 第一章『presage flower』は2017年10月14日に公開。第二章『lost butterfly』は2019年1月12日に公開。第三章『spring song』は2020年8月15日(*25)に公開された。 原作版『Fate』 本作の原案になった未完・未公開の小説。『Fate/Prototype』は、この原案の要素をより多く反映させた別個の派生作にすぎない。 高校生時代の奈須きのこ氏が、『ゲッターロボ』等の作者である石川賢氏の漫画版『魔界転生』に触発されて、友達に見せるために書いていたものである。他には氷室冴子氏の小説に憧れていたとも。タイトルは「Fate/○○」の形式で恥ずかしい単語が並んでいたとのこと。 こちらの主人公は女性で、サーヴァントのアーサー王は男性。ランサーが仲間になったりアーチャー(ギルガメッシュ)に言い寄られたりと、女性向け作品としても違和感ない程の構成。 『Fate/EXTRA』に登場するサーヴァントクラス「セイヴァー」(剣士のセイバーではなく救世主)も、大本はこの原案から存在していたアイデアである。
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Fate/hollow ataraxia 【ふぇいと ほろうあたらくしあ】 ジャンル 伝奇ビジュアルノベル+ファンディスク ※Windows版 ※PSV版 対応機種 Windows 98~XPプレイステーション・ヴィータ 開発元発売元【Win】 TYPE-MOON 発売元【PSV】 角川ゲームス 発売日 【Win】2005年10月28日【PSV】2014年11月27日 定価 【Win】7,140円(税5%込)【PSV】限定版:8,640円/通常版:6,480円/DL版:5,400円 レーティング 【Win】アダルトゲーム 【PSV】CERO C(15歳以上対象) 判定 良作 ポイント 繰り返される四日間の日常と戦い敵サーヴァント・サブキャラの掘り下げ充実したミニゲーム相変わらず"実用性"の方は微妙 Fateシリーズリンク 概要 ストーリー 特徴 ミニゲーム 開運 遠坂神社 風雲イリヤ城 ~とつげきアインツベルン~ トラぶる花札道中記(EX) 評価点 問題点 総評 余談 移植版の特徴 カプセルさーばんと 概要 『Fate/stay night』(以下前作)のファンディスクとして発売された作品。 舞台は前作で行われた第五次聖杯戦争の終結から半年後の冬木市で、前作のどのルートからも繋がっていない。 前作で登場したほぼ全てのキャラが登場し、それぞれのキャラについての掘り下げがなされている。 なお本作のシナリオは、本筋こそ前作と同様に奈須きのこが担当しているが、日常パートは他のライターが担当している。 2014年に発売されたPSVita版は、ボイスが追加されたほか、Win版の18禁要素を含むシナリオ・CG等が削除・改訂され、OPムービー及び主題歌も変更されている。また、ミニゲームも一部差し替えられた。 ストーリー “第五次聖杯戦争”終結から半年後の冬木市。サーヴァントたちは現界したまま、穏やかな日常を満喫している。衛宮士郎は何者かが聖杯戦争を再開しようとしていることをつかみ、調査のための夜回りを始める。 さあ、聖杯戦争を続けよう 夜。目覚めは苦痛から始まった。不快極まりない痛みとおぞましさを耐え、私は蘇生していた。胸を貫かれ、死んだはずの自分が…。 生き返った私の傍らには、“名前のない”サーヴァント。 残るのは曖昧で断片的な記憶。増幅していく嫌悪と不信。 斃すべき敵を求め、街へ。不吉な月の光の下、影が蠢く夜がまた始まる。 (PSV版公式HPより引用) + 主要キャラクター紹介 衛宮士郎 前作から引き続き主人公を務める、セイバーのマスター。平穏な日々の中で聖杯戦争再開の兆しを察知し、阻止のために行動を始める。 バゼット・フラガ・マクレミッツ もう一人の主人公で、第五次聖杯戦争開催の折、魔術協会より派遣された女性。繰り返される4日の聖杯戦争を勝ち抜くべく、戦いに挑む。 アヴェンジャー 本来聖杯戦争には召喚されない第8のクラスのサーヴァント。バゼットと契約し、彼女と共に夜の聖杯戦争に挑む。 カレン・オルテンシア 「教会」より、冬木市の教会に新たに派遣された銀髪の少女。 特徴 ストーリーは二つに大分され、一つは前作で主人公を務めた衛宮士郎の視点で、もう一つは本作で新たに登場するバゼット・フラガ・マクレミッツの視点で進行する。前者ではプレイヤーが冬木市上の各所に存在するイベントを選択し、それぞれの場所で起こる出来事を見ることができる。 見たことがない、あるいはストーリー進行に関わるイベントと選択肢にはそれぞれ印が付いている。 一日は午前・午後(場合によってはさらに放課後)・夜に分かれており、イベント一つにつき原則1つ時間を消費する。これを4日間繰り返すと、再び1日目の朝に戻る。ただし4日間までのどこかで死亡などの要因で打ち切られることもあり、この場合も1日目の朝に戻る。 ストーリー進行に関わるイベントを選ぶことでフラグが回収され、新たなイベントが出現する。 特定のイベントを選択することでミニゲームが解放されるほか、『eclipse』にシナリオが追加される。なお一度見たイベントは、メインメニューから自由に選択して見ることが可能。 後者は前者で行ったイベントの進行度合いによって、1日目の前に挿入される。本作の本筋は概ねこちらと言ってもよい。 主人公バゼットと、彼女のサーヴァント・アヴェンジャーが夜の聖杯戦争に挑む物語。 バゼット編に選択肢は存在しないが、読了後、新たにイベントが出現した状態で1日目が開始する。これにより選択肢が広がっていくことで、物語はエンディングへと近づいていく。 『eclipse』はタイトル画面から入る項目で本編から離れたエピソードを見られる。本作の18禁描写は一部を除きこちらに入っている。 そして、本作前後で型月と関わることになる、豪華ゲスト作家らによる壁紙イラストも収録。ファンディスクのお約束。 ミニゲーム 本作のミニゲームは3つ存在する。 開運 遠坂神社 遠坂凛が巫女を、アーチャーが宮司を務める神社。ゲーム開始時より選択可能。 ゲームを進行していると自動的に入手されるお金を消費して、おみくじや絵馬を買うことができる。 絵馬は本作キャラの設定画で、購入するとCGの項目に追加されるほか、それぞれの解説を聞くことができる。 風雲イリヤ城 ~とつげきアインツベルン~ あるイベントに仕込まれ、クリアした後は自由に選択可能となるゲーム。担当したのは『MELTY BLOOD』のフランスパン。 まずマスターを士郎・凛・桜の三人、サーヴァントをセイバー・アーチャー・ランサー・ライダー・キャスターの五人の中から一人ずつ選ぶ。 ステージは4つに分かれているが、基本的にクリックした箇所に進み、ゴールを目指す。 他のサーヴァントに接触すると戦闘となり、クリックを連打することで勝負。勝つと相手のHPを削ることができる。 魔力のゲージが満タンの状態で右クリックすると、先頭の敵に宝具を撃つことができる。敵も宝具を撃って来るが、クリック連打によって防ぐことが可能。 ステージ上には食べ物が存在し、これを取得することでHPを回復したり、移動速度上昇・無敵といった状態になったりできる。 最後のステージでボスを倒すとクリア。それまでのタイムが記録される。 サーヴァントを倒したりすることで出現する宝箱を開けると、コレクションアイテムを入手することがある。これらをすべて集めるとボーナスCGが閲覧できる。 ステージの間にはなぜか○×クイズが出題されるが、本作とはまるで関係のない問題が出されることも。 トラぶる花札道中記(EX) あるイベントをクリアすることで選択可能となるゲーム。拡張パッチを適用することでチームが追加されたEX(エクセリオン)になる。ストーリーモードのほか、フリー対戦モードやチュートリアルも完備。 こいこいルールを使用した花札であるが、加えてキャラ毎に設定された札をとることで蓄積されるMPを消費して、チームそれぞれ異なる『宝具』を使用することができる。 一部チームはゲームバランスを崩壊させるどころか、最早ゲームを成立させない宝具(*1)を使ってくる。 『Fate/stay night [Realta nua]』のPS2版初回限定特典に、またPSV版のRealta nua及び本作の購入特典に、このミニゲームのPSP移植版『とびだせ!トラぶる花札道中記』が前者ではパッケージ、後者ではDLコードとして同梱された。 『とびだせ!~』はパッチ適用前を基本としてフルボイス化、オリジナルチームを一つ追加したもの。 またPSV版にはいずれも、システムを流用した続編『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』も同梱された。 評価点 ファンディスクの域に収まらない、前作の補完も行われるイベントを含むシナリオ。前作から引き続き「きのこ節」も健在。 日常シーンでは、前作では基本的に敵として登場したサーヴァントとのイベントが大量に増えており、これまで知り得なかった一面を存分に見ることができる。 それぞれの過去を知ることができたり、それまでのイメージが一転するほどの壊れぶりが見られたりと、掘り下げが為されている。 秋ではあるが、室内プールに行くというシチュエーションがあるため、ヒロインたちの水着姿を見ることもできる。 他にも、前作では登場するシーンが少なかったサブキャラクターも登場する場面が増えた。 特に前作ではプロローグのみの登場となった氷室・蒔寺・三枝の三人は出番が劇的に増え、氷室については彼女が主役を務めるおまけシナリオも存在している。 夜の聖杯戦争に関わる戦闘描写も前作に引き続き好評。特に終盤は燃えること必至。 燃えを削ぐとして批判された18禁要素についても、『eclipse』という別枠に収めることで解決している。 本作で新たに登場した新主人公・バゼットと彼女のサーヴァントのアヴェンジャー、そして謎の少女カレンのいずれも、前作に登場したキャラクターと何らかの形で関わりがあるため、違和感を覚えることはないだろう。 なお今作のOPムービーは前作のようなアニメでなく静止画で構成されているが、流れるタイミング等も含め主題歌とセットで評価されている。 問題点 四日間を繰り返すという設定上、同じイベントを何度も見る羽目になることが多く、テンポが異様に悪い。 スキップ機能が充実しており、見たことがないイベントやストーリーを進める選択肢にそれを知らせるマークが付いていても、やはり気になることではある。 18禁要素こそあれ、実質おまけ扱いされているため実用性は微妙。 また、あるキャラクターとの濡れ場は例の如くシナリオ中(しかもほぼクライマックス)に挿入されているため、燃えを削いでしまっている。 前作がなまじ完成された作品であるがために、本作での一部キャラの掘り下げが却って蛇足となっていると捉えられることも。 掘り下げについても、日常パートはライターが異なるため、雰囲気の違いに違和感を覚えるプレイヤーも少なくない。 前作のルートの一つで登場した『真アサシン』が、本編中では一度も姿を見せない(*2)。 登場するのはパッチ適用後の「トラぶる花札道中記EX」のみ。しかも移植版では登場しないというあまりにも酷い扱い。 本作の主人公について + 核心に迫るネタバレのため注意 実は本作に登場する主人公・衛宮士郎は厳密には本人ではない。 そして本物の衛宮士郎は本編エピローグにチラッと登場するのみ。主人公だったのに。『eclipse』内にもう一つ本人としての登場エピソードがあるが、そちらは完全な番外編である。 補足すると、ややこしくはあるが「本物となんら変わらない偽者」と語られている通り「士郎」として登場している間は紛れもなく士郎である。なので「士郎のフリをして周囲を欺いている」のではなく「一時的に完全に士郎と化している」という解釈の方が正しい。 総評 ファンディスクでありながら、実質続編とも言える内容。 前作で主人公と敵対したキャラクターたちの日常の平穏、そして夜に繰り広げられる死闘。 それらを踏まえたうえでのクライマックスに向けての一連の流れは、多くのプレイヤーを魅了することだろう。 実用性については燃え描写からは切り離されたものの、ファンディスクとしては少々物足りないと思われる。 いずれにせよ『Fate』の本流を語るならば、前作に加えて本作も併せてプレイしておくべきだろう。 18禁のWin版と全年齢版のPSV版、いずれも好みで選んでも構わない。 余談 2014年1月30日に本編とのセット『Fate/stay night+hollow ataraxiaセット』が9,500円で発売された。 パッケージが描き下ろしだが、ゲーム内容は変更なし。Windows 8まで対応している。 スマートフォンアプリ『Fate/Grand Order』の爆発的ヒットなどにより本作が再度注目され、初回版もセット版も定価を超えるプレミア値段となっていた。 2019年6月28日に『Fate/stay night+hollow ataraxia 復刻版』が発売された。こちらはダウンロードカードであり、Windows 10まで対応している。 『Fate/stay night』と合わせて2014年時点で約40万本売れている。(参考リンク) 移植版の特徴 ミニゲームも含めて全てボイスが追加され、OPムービーと主題歌も一新された。 OPムービーはPSV版『Fate/stay night [Realta nua]』でも担当したufotableが制作し、主題歌は後にアニメ版『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の後期OP及び挿入歌を担当することとなった「Aimer」が担当。 ED曲はアップデートで追加されたが、Win版ED曲の英語版となっている。こちらも同じく「Aimer」が担当している。 『eclipse』中の18禁要素を含むエピソードは削除されている(差し替えではない)。 そのため『eclipse』は前述の氷室が主役を務める話とゲームクリア後に追加される『後日談。』(というタイトルの番外編)のみと、専用のメニューがあるのに中身がスカスカになってしまった。 本編ストーリー中の濡れ場については18禁要素を削り改変という形になっている。 トラぶる花札道中記が特典となったため、新たなミニゲーム『カプセルさーばんと』に差し替えられた。それによってストーリー中でのミニゲーム解放までの下りも一部変更が為された。 このミニゲームでも『真アサシン』は登場しないため、正真正銘彼の出番がなくなってしまった。 その他のミニゲームはそのまま収録。いずれも多数のボイスが収録されている。 カプセルさーばんと 花札と同じ条件を満たすことで解放されるミニゲーム。所謂タワーディフェンス。なんかポ○モンっぽい 主人公を「シロウ」と「リン」のいずれかから選びゲームスタート。リンのほうが敵のレベルが高い。 登場するマスターやサーヴァントは前作『Fate/stay night』と本作のみならず、前日譚の『Fate/Zero』や外伝作品の『Fate/EXTRA』及び『Fate/EXTRA CCC』『Fate/Apocrypha』、原作のさらに原案の『Fate/Prototype』などなど、何気にオールスターを実現している。 バトルの方法は、時間経過で貯まるマナを消費してサーヴァントを召喚し、敵拠点を先に破壊した方が勝ちという、至ってシンプルなもの。 召喚したサーヴァントは敵拠点へ向かったりその場に留まったりと、様々な行動を取る。それぞれの特質をつかむことが重要。 サーヴァントは敵の攻撃によってHPがなくなると消滅して、マナを放出する。これを入手することでもマナは増加する。 原則倒した方にマナは移動するが、マナを横取りする能力をもつサーヴァントも存在している。 強いサーヴァントほど召喚に必要なマナの量も多く、再召喚にかかる時間も長い。 一度の戦闘で召喚可能なサーヴァントは事前にセットできる7騎までなので、よく考えてサーヴァントを選ぶ必要がある。 加えてサーヴァントを召喚する場所は召喚陣の位置を変えることで調整できる。極端な話敵拠点手前にも召喚可能。 ただし召喚陣を一定以上敵陣に近づけるほど、必要なマナの量は2倍3倍と増加するので注意。 また一定時間経過することで、マスターごとに異なる必殺技を使用できる。これで戦局を一気にひっくり返そう。 バトルに勝利すると、召喚した回数等に応じて各サーヴァントのレベルが上がる。 レベルが上がるとHPや攻撃力が上がるほか、再召喚にかかる時間が短縮されたりもするため、育成は重要。 同時にマスターのレベルも上がり、拠点のHPやマナの充填速度が上がる。 経験値は「自分以上のレベルの相手マスターに勝つ」「拠点ノーダメージ」「一定以上のマナを消費して勝利」を達成するほど倍増。 そして勝利後はガチャを回す。レアサーヴァントが出るか、既に持っているサーヴァントが出てしまうかは運次第。 排出されるサーヴァントは戦った相手が使ったものに限られるため、欲しいサーヴァントはそれを使う相手と出るまで戦い続ける必要がある。 ちなみにダブった場合はサーヴァントのレベルが1上がる。高レベルでは必要な経験値の量も増えるため、これでサーヴァントを育成するという手もある。 ちなみにいずれかの主人公でストーリーをクリアすると、敵マスターをプレイヤーとして選ぶことも可能。 それぞれのマスターで、特定のサーヴァントを召喚した場合の専用セリフがあったりするので、意外とボイスパターンは多様。 …最早おまけミニゲームの域を超えている。対人戦は不可能だが、あればきっと盛り上がったことだろう。 更に後の2019年12月20日、このゲームのみを切り出した移植版がスマホアプリとして買い切り販売された。
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Fate/EXTRA CCC 【ふぇいと えくすとら しーしーしー】 ジャンル 対戦型ダンジョンRPG 対応機種 プレイステーション・ポータブル 発売元 マーベラスAQL 開発元 TYPE-MOONイメージエポック 発売日 2013年3月28日 定価 通常版 6,279円ヴァージンホワイトボックス 10,479円 廉価版 PSP the Best/2014年1月30日/ 3,065円 レーティング CERO D(17才以上対象) 判定 なし ポイント システム・演出は前作からの正統進化前作シナリオの不完全燃焼キャラの掘り下げを痒いところまで届かせたストーリーはやや前作プレイ済み前提続・ラスボス(裏)が色んな意味で危ない Fateシリーズ関連作品リンク 概要 ストーリー 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 『Fate/EXTRA』の外伝的続編。 前作はFateシリーズ本編とかなり毛色の違う番外編ということもあり色々と賛否が分かれたが、概ね好意的に『Fate』シリーズファンへ受け入れられた。 作品のテーマは「少女の情念、そしてエロス」であり、対象年齢がCERO D(17歳以上対象)となっている(*1)。 また前作にも登場した『Fate/stay night』からのキャラクター「間桐桜」が、物語のキーパーソンとして据えられている。 主題歌は分島花音氏の「サクラメイキュウ」で、本作では「魔法少女まどか☆マギカ」「化物語」で有名なシャフトが担当したオープニングアニメが収録される。制作監督は新房昭之氏。 選択した主人公の性別によってオープニングアニメのVer.が変化する。 前作データ引き継ぎ特典として、主人公のコスチュームに「体操服」が手に入る(男女でデザイン変化あり)。 ストーリー 霊子虚構世界「SE.RA.PH(セラフ)」における聖杯戦争は終わりを告げたはずだった。 しかし、月の聖杯たる霊子コンピュータ「ムーンセル」のエラーによって、電脳世界そのものの在り方が変異してしまう。 放棄された裏側の領域に落着した主人公たちは、破綻した謎を解くため、桜の大樹の下に広がる迷宮の攻略へと身を投じていく。 溺れる夜に、淫靡で妖艶な物語が、いま幕を開ける。 + 一部キャラクター簡易紹介 主人公(男/女) 私立月海原学園に通う生徒。2年A組に在籍している(男・女いずれかの性別を選択。)今回は名前入力時のセレクトボタンでデフォルトネーム有り。前作コミカライズ版からの逆輸入で「岸波白野」(男女共通)。ニックネームは男で「キシナミ」、女で「はくのん」となる。 セイバー 難易度:スタンダード。剣士のサーヴァント。最も優れていると言われるクラスの名に恥じず、通常攻撃を軸としたバランスのよい戦闘力をもつ。やや幼い容姿に唯我独尊な態度だが、マスターに熱い親愛の情を抱く。 アーチャー 難易度:テクニカル。弓兵のサーヴァント。基本能力はさほど高くないが、投影魔術を用いて強化した攻撃スキルを主力とする。皮肉屋で徹底した現実主義者。 キャスター 難易度:マニアック。魔術師のサーヴァント。魔力と特殊スキルに特化したクラスで、正面対決ではサーヴァント中最弱と言われている。毒舌だが、主人公には忠節を誓っている。 ギルガメッシュ 難易度:チート。クラスを与えられず真名を隠さない、黄金の甲冑を纏う英雄王。圧倒的な総合能力に裏付けされた自信に満ちており、戦闘力のみならずその洞察力も他の追随を許さない。 間桐桜 月海原学園に通う1年生で、保健係の少女。 評価点 EXTRAの補完 前作は諸事情によりTYPE-MOONのメインライターたる奈須きのこ氏はあくまでシナリオ監修という立場だったが、内部で色々あったのか発売目前にしてシナリオ担当となる(結果発売予定日から大幅の延長となった)。その結果色々と奈須氏としても納得いく修正が出来なかったらしく、その不満はプレイしたファン側でも如実であった。 今作は最初からシナリオを奈須氏が担当。そして外伝という位置づけの通り、前作本編の合間に起こった出来事という時間軸のなかにて展開される。 Fateシリーズ原典である『Fate/stay night』のメインヒロインの一人であった間桐桜はEXTRAでもパラレルワールドの似た存在として登場していたが、そちらでの役割はほぼ端役同然であり、ボイスも無く、はっきりいってあまり良い待遇ではなかった。だが、今回その立場はCCCの真のヒロインと言って間違いない大役へと躍進を遂げている。 それでいて、かねてから「腹黒い」「報われない」「暴走ネタキャラ」と二次創作は勿論公式からもあまり良い扱いでなかった彼女であるが、今回はその「純真さ」「一途な良い子」っぷりが実に際立っている。とても好評となった。 ちなみに「腹黒い」「報われない」「暴走ネタキャラ」に該当する要素は、桜と非常に密接に関わるキャラに受け継がれている。 あくまで「EXTRAの桜」であり、「stay nightの桜」とは無関係であるが、「この桜は桜で好き」と概ねファン感情は良い。 前作からのファンの強い要望であった「パートナーのサーヴァントともっと親密な関係になりたい・触れ合いたい」というものは勿論きっちり叶えられている。これによりサーヴァントの背景の掘り下げはより深くされ、またとても親密な関係となるイベント・各自EDなども用意された。 テーマ的にも女性キャラがクローズアップされる事の多い本作だが、前作では詳しい描写のないままに死んでいった男性キャラの考えや信念なども掘り下げられており、本作ではきちんと見せ場が用意されている。完全な脇役はいないと言って良いレベル。 見せ場らしい見せ場という意味では、むしろ男性キャラの方が印象深いほどである。 前作からある程度出番の多かったキャラに関してもコミカルな人間臭さがクローズアップされたりしている。 四人目のサーヴァント、ギルガメッシュ参戦 発売前からファンの目を引いた要素の一つ。それがstay nightからのキャラクター「ギルガメッシュ」を自分のサーヴァントとして使えるということである。 「事実上最強のサーヴァント」として名高く、加えて基本的に悪役側であり屈指の強敵と言う立場の多かった彼をまさか味方として見ることができるとあり、その話題性はとても高かった。 新規参戦サーヴァントということもあり、彼だけシナリオもところどころ変更され、前作のプレイヤーにとって新鮮味がありながら違和感が少ないという配慮になっている。 ただしその変化部分に本作の核心部分を前提とした台詞が入っているため、公式のインタビューではスタッフが「二周目以降の選択」を勧めている。もちろん「チート」評価だけあって最終的なステータスは優遇されているが、その意味合いは難易度というよりストーリーによるものが強い。 ダンジョン探索・戦闘の正統進化 前作ではダンジョン(アリーナ)内でセーブ不可で、加えてダンジョンから一度出たらシナリオが勝手に進んでしまいもう前のダンジョンフロアには行けないという、一方通行かつあまりに油断の出来ないシステムであり、長時間のレベル上げや探索がワンミスの死亡により泡と消えるというシビアさであった。 このシビアさが良いという意見もあるにはあったが、やはり不満の方が多かったようで今作では変更されている。 各フロアに全回復ポイントが設置され、それがセーブポイントも兼ねるようになった。これにより事故死の心配は格段に減った。 クリアしたフロアも後日また行けるようになった。これにより探索の見落としが尾を引くことはなくなった。 ただし一回目の探索ではとれなかったアイテムがそのフロアクリア時にとれるようになったのに勝手に帰還してしまうという状態が今作からある。分かっているのにその時とりに行けず一部とりに戻らなくてはならないという面倒さも出来てしまった。 前作で出来なかった雑魚からの逃走も可能になっているが、手順が開示されていけばほぼ使われなくなる。 やや戦闘の演出が地味とされていたが、それらも順当なイメージで強化された。 サーヴァントの台詞以外どちらも同じだった完封時のEXTRAターンは、プレイヤーが2連続成功時(6ターン目)の専用モーションが追加され、各アタック・ガード・ブレイクのアクションやセリフも連続成功数に応じて色々とバリエーションが増えた。 一部別技なのに動きがまったく同じと指摘されたセイバーのスキル技や、設定の割には技のレパートリーが少ないというアーチャーだったが、各スキル演出の強化・差別化や技の増加等により、それらもそこそこ改善された。 前作では全回復ポイントがあるか否かという程度の違いだった難易度設定だったが、今作では行動パターンの開示数・アイテムの入手率の上がるSWEET/従来通りのNORMAL/敵の体力・攻撃力が上がるMANIACの三段階が用意された。この為初回がよりプレイしやすくなった他、周回プレイ時それなりにやりごたえが出来た。 戦闘のコマンド選択にはオート選択も可能。選択すると開示されている行動に対して勝てる手を、不明な手に対してはランダムな手を設定する。 レベルが低く敵の行動パターンが開示されていない内はバクチ行為でしかないが、レベルが十分ある時点での雑魚戦の手間は格段に減った。 コスチュームチェンジ 主人公とパートナーのサーヴァントの衣装にレパートリーが出来、マイルームのクローゼットで着せ替えが出来るようになった。 サーヴァントは大きく分けて「今作での衣装」「前作での衣装(ギルガメッシュ以外)」「現代風衣装」「水着」「最終決戦用の衣装」と四~五種類。 主人公は「今作での衣装」「前作での衣装」、およびクリア特典となる「水着」、そして前述の前作引き継ぎ特典の「体操服」。更にカラー変更出来る「眼鏡」と、「手袋(男)」「靴下(女)」のアクセサリー付となっている。 これらを着せ替えることで視覚的にも周回プレイに飽きが来にくくなった(シリアスなシーンで水着姿というセルフムードブレイクも可能)。 やりこみ要素 ラスボスはルート分岐により二体存在しており、やり込み甲斐が増した。 隠しボスも三体に増え、それらは自分のサーヴァントにより相手とやりとりが変化したりする為、毎回新鮮味が沸く。 パターン開示だけでなく、サーヴァント毎に周回でのレベル引き継ぎが行われるようになった。前作ではレベル1からのやり直しを強いられていた為これも嬉しい所。 数は多くないがCG閲覧モードも搭載されており、EDのCGも引継ぎ可能。 男女主人公とサーヴァントのシナリオの多彩分岐 主人公の性別や選択したサーヴァントによるキャラクター達の受け答えや主人公自身の反応に差異が増えた。 前作では女主人公は男主人公の流用感が強く、あまり女の子扱いされているとは言い難かった(今作でも作中で「男らしい」と呼ばれたり女子とデートする作戦をやらされたりするが)。 しかし今作では女主人公によるシナリオ内の変更が大幅に増えた。女の子らしい恥じらいやときめきをしたり、特定のサーヴァントと組み合わせるとシナリオの変更が如実になったりする。 前作からのサーヴァントの一人であるセイバーは性別に区別なく人を愛するキャラであり、それもあってか主人公がどちらの性別だろうがシナリオや台詞的にはアーチャーやキャスターに比べると差異が殆ど無かったが、今作では男女で台詞に結構差異があり周回で違いを楽しめる。 通常ルートには各サーヴァント毎のグッドエンディングがそれぞれ用意されており、加えてもう一つ、(通称CCCルートによる)トゥルーエンドが存在するという豪華さ。 通常ルートのノーマルエンドが前作のエンディングに当てはまる内容となる。といっても各サーヴァントエンドのイベント部分を取り除いた簡素なものであり、元々前作があまり救われない結末だったことも影響している。 ちなみにそれぞれのボスイベントで敗死時に対応したバッドエンドも用意されており、これらも結構凝っている(これは前作から)。一方、今回はイベント戦以外で敗北した際に戦闘リトライが可能になっている。 賛否両論点 より「TYPE-MOON」的なシナリオ 前作のシナリオは、別のライターが執筆したものを奈須氏が書きなおしたものであるため、粗こそ多いものの比較的万人向けのシナリオであった。 今作のシナリオは奈須氏が最初から執筆しているため、粗は少なく出来は良いのだが、その一方でよりTYPE-MOONファン向けとでも言うべき、癖の強いシナリオになっている。 一部にギャグ要素が強い。 特に序盤(第1章~第2章)に関してはかなりキツいレベルのキャラ崩壊がメインとなる。 + ... 第1章、第2章の顔は前作でマスター側として主人公の協力者となった遠坂凛とラニ=VIII。仮にも主人公とパートナーサーヴァント以外でいい感じの関係を築いたこの二名(特に凛はFateシリーズ通してのヒロイン)の扱いが完全にギャグ。ヒロインが続編や外伝でネタキャラ化するのはTYPE-MOONではよくあること(*2)なのでこれに馴染んでいる濃いファンには気にならないが、馴染みのないライト層の一部やそういった作風をよく思わないファンからは疑問があがった。 第4章終了後にドシリアスな間章が入るのだが、直後の第5章前半もギャグ全開。盛り上がった心が一気に冷めるプレイヤーも。こちらは上ほどキャラ崩壊はしていないが。 パートナーの一人・キャスターの最後に覚える新追加技が完全にギャグな点はついていけない者も。 主人公に告白しながらだが(*3)凛々しく攻撃する技のセイバー、stay nightからのファンには嬉しいサプライズ技であるアーチャー、地球上が舞台となるstay nightではとても全力の表現が出来なかった分月の電脳世界で遠慮なく権能級の宝具を振るうギルガメッシュ等と違い、彼女のはもうシリアスの欠片もない。 あろうことか魔術師のクラスの彼女なのに物理技である。前作から仄めかされていたネタの技で彼女らしいといえばらしいスキルなのだが、シリアスな戦闘中にぶちかませば緊迫感は完全崩壊。しかも強い! 確かにキャスターはメタなギャグも自重しないキャラであるが、決める所ではシリアスに決めてくれるキャラでもある。だが戦闘中の技には、そのような「決め所」に合わせた配慮などない。自粛すれば良いのだが、ゲーム的にとても苦労する羽目になる。 逆に、一部にとても暗い箇所も。 元々Fateシリーズ全体がシリアスで多かれ少なかれ悲愴感があるシナリオなのも関係していると思われるが、本作でもちょっと後味の悪さを感じさせる箇所が多々ある。 最後まで生き残れないキャラも敵味方双方に存在する。それでもほぼ例外なく見せ場が存在したり、何かしらの救いがあったりするのは幸いと言うべきだろう。 「迷宮を進むためには敵に回ったヒロインの隠しておきたい秘密を暴き立てていく必要がある」と言う趣旨は、若干悪趣味で好みが分かれる。 また、そのヒロインを撃破した際には言葉責めによって完全に心を折り、成功するとヒロインのエロティックなイラストを見る事が出来る……と言うまるで脱衣麻雀のようなイベントがある。ギャグシナリオの後はともかく、シリアスなシナリオの後にも容赦なくこのイベントが挿入され、せっかくの盛り上がりが薄れてしまう事も。 「エロが燃えを削ぐ」と言うのはある意味Fateの伝統ではあるが、そんな所を引き継いでどうするのか。 物語が進むにつれて、言葉責めパートもシリアスになってはいく。が、全体がシリアスになるのではなく、序盤はギャグの流れで容赦なく笑わせに来るのに、選択肢をひとつ越えるごとに急激に雰囲気が重くなっていくという傾向が顕著になっていく。後半では最後の最後で誤った選択肢を選ぶと、ヒロインが逆上し一気にゲームオーバーになる(3点のライフが一度に全て消し飛ぶ)チャートが多い。そしてエロはそのまま。 ストーリー上のボスキャラクターのうち、約1名と裏ラスボスを除くと、作中同一もしくは容姿が類似したキャラクターと複数回戦闘することになる。後者に該当する三人は表ラスボスとそのアルターエゴ(別人格)という設定から、内面や容姿にそこそこ大きな違いはあるものの、顔はだいたい同じ。 幾度もの戦闘を経て性格や背景まで丁寧に掘り下げられている反面、キャラを何度も使いまわしていると感じるプレイヤーも。 ここまでを総括すると、ギャグとシリアスの間で上げて落としてを繰り返す流れが極端に多いと言える。これが本当に好みが分かれる。 Fateシリーズにおいても「hollow ataraxia」が同様の構造(コメディ主体の中に、おもむろにシリアスなイベントが入る)をしていたが、ここまで落差が強烈ではなかった。本作はキャラ崩壊級のギャグと悲劇的な展開が同じ章に(場合によっては同じイベントに)混在する。ギャップを狙っているのだろうが、あまりに緩急が付き過ぎてついていけない所も。 「きのこ節」とも言われる癖の強い文章・シナリオ 例えば、似た台詞を3回(あるいはそれ以上)繰り返すシーンが非常に多い。「言う事を聞きなさい。聞いて。聞けってば!」と言った具合。 他の奈須きのこ作品でも多い文章だが、その多くは地の文であるため違和感は少ない。本作ではその形式上、地の文よりキャラクターの台詞が多いので、皆が皆不自然な繰り返しを口にし易いため、違和感が若干強い。 前作が万人向けストーリーということで主人公のキャラクターも極力無個性で思考も比較的常識人…といった印象だったのだが、今作の主人公は氏の個性が爆発しまくっている。 特に中盤、主人公が示す脅威の精神力と行動力は最早プレイヤーの感情移入がちょっとついていけなくなるレベルに至る。TYPE-MOONの主人公らしくなったといえばそうなのだが。 新キャラの行動や性格、イベント等に関しても、割とひねくれていたり、理屈じみていたりする事が多い。同じ奈須きのこ作品でも、「stay night」等以上にかなり癖が強く、馴染めない人にとっては本当に馴染めない。「何故そんな行動を取るのか分からない」「何故そんな事を考えるのか理解出来ない」などと一度感じてしまうと、シナリオを楽しみにくい。 特に表ラスボスとアルターエゴの2人は、「stay night Heavens Feel」並に非常にアクが強く好みが分かれる性格にもかかわらず、シナリオ(特に真ルート)において、強く感情移入を求める重要キャラという立ち位置に置かれている。 総じて、好きな人にとってはとても面白いが、苦手な人は最後まで馴染めない、と言う要素が殆どを占める。もちろん、「それが良い」と言うプレイヤーも少なくないので、まさしく 賛否両論 点と言う所だろう。 エンディングの分岐 それぞれ別個に幸せなエンディングが存在するとはいえ、サーヴァントと間桐桜の両方を同時に幸せにする事は不可能。最終的にはそのどちらかを選ぶ必要がある。 さらに言えば、前作ヒロインである凛やラニへのエンディングは本作に存在しない(一応、フラグ不成立時の通常エンドが前作ストーリーへと戻る内容なので、その先に前作エンディングが待っているとは言える)。 裏ラスボスのヤバさ 通常ルートの表ラスボスもそれなりに少女の情念の恐怖やらなんやらを感じさせる存在だが、真ルートのラスボスはそんな生易しい奴ではない。 テーマのもう一つ「エロス」を突き詰め体現したに相応しい、淫靡で妖艶な立ち居振る舞いとラスボスとしての技の数々。冗談抜きで、ヘッドフォンをつけた上で、外でこのゲームをやるなら周囲に、家でも背後に誰もいないことを確認したうえで、裏ラスボス戦をやったほうがいい。 最終技である宝具についてはまさにこの為のCERO Dと言っていい。裏ボスのパートナーが知らせて曰く「最低最悪の宝具」。言いえて妙と多くのプレイヤーが共感したという。 裏ラスボスの声優の熱演もありそのキャラクター性はある意味ドン引きものともいえる代物に仕上がっている。 成長システム 前作ではレベルアップ時に入手したポイントを筋力・魔力…等に振り分けるシステムがあったが、今作ではそのシステムは廃止され、能力値は自動成長のみとなった。 前作では(特にセイバーにおいて)筋力優先強化が強すぎたりした他、キャスターも筋力を育てないと雑魚戦がどうしようもなかったりと、ポイント振り分け自体がバランスを崩す一因になっていた。 その為、なくなっても別に気にしないプレイヤーも多い。実際、今作は自動成長のみできちんとクリアできるゲームバランスになっている。 反面、何かに特化して成長させる楽しみ等がなくなった為、成長システムは残して欲しかったと言う声もなくはない。 問題点 前作未プレイ者への配慮の中途半端さ 続編にして外伝である本作だが、シナリオは『前作のキャラクター達がほぼ続投し時間軸も前作の真っ只中に起きた出来事』ということもあり、前作の中盤までのストーリー情報を持っていないとかなり置いてけぼりにされる。 主人公やそのサーヴァントは勿論、前作キャラクター達も前作での記憶が事情により一部を除きおぼろげである……と言う設定で、ある程度未プレイ者への配慮が窺えるのだが、その配慮はあまりに中途半端。はっきり言うといきなり今作からプレイすることはお勧めできない。 「会話やシナリオは前作の内容を前提としているが、その内容は詳しく語られない」「キャラは思わせぶりに思い出すが、プレイヤーに対する説明は一切無し」と言ったシーンが非常に多い。一部のキャラの動機や行動は前作の内容を前提としているため、前作のストーリーを知らないと「このキャラはなぜこんな事をしているのか」「このキャラは一体何を言っているのか」と言う疑問が尽きない。 その一方、「ネタバレ配慮しているっぽいが、バレバレで全く無意味」と言うシーンも多い。例えば、本作ではネタバレを避けるためか、味方・敵を問わず前作から登場したサーヴァントの真名は(時々一人称で思いっきり言っちゃっているキャスターと前作同様最初から名乗っているガウェインを除き)最後まで一切明かされず、それについての会話は全体的にぼかして語られる。が、宝具は別としてもプロフィールの開示により正体がバレバレとなるため、配慮の意味を為していない。 特にキャスターに関しては「一人称では思いっきり真名を喋るくせに、イベントでは徹底して伏せられる」と言う、なんとも意味の分からない事になっている。 何より、後半のマイルーム会話などは「真名が分かっている事が前提の会話」が展開されるため、もしプロフィールでピンと来なかった場合、意味不明にも程がある事になってしまう。 今回新規参戦のギルガメッシュを除く、前作からの使役サーヴァント三人の主人公へのいきなりの好感度の高さも、前作未プレイ者にとってはちょっとついていけないかもしれない。 逆に前作プレイ済のプレイヤーからすると、未プレイ者への配慮のせいで不自然に語られない部分が有るためモヤモヤする。「サーヴァントの生前の話」を語りながらも、そこで絶対に名前を出さない、など。 前作未プレイ者にとっても既プレイ者にとっても、どっちつかずで中途半端になってしまっている。いっそ完全にネタバレを解禁してしまった方が、どちらにとっても親切であっただろう。 前作プレイヤーにとっての物足りなさ 前作に登場した多くのキャラクターが本作でも登場するのだが、登場しないキャラも結構いる。 魅力的なキャラが多い作品だけに、チョイ役でもいいから出て欲しかったと考えるファンも少なくない。本作は続編であると同時にファンディスク的な要素も強いため、なおの事。 なお、前作キャラの一部不在の影響から、本作では聖杯戦争における基本7クラスのうち、2クラスが登場しない(該当のクラススキルはアルターエゴに割り振られている)。また、新規サーヴァント三騎のうち二騎がランサーと、バランスも悪い。 戦闘における非改善点 演出面は、スキルの演出強化や新技追加などを行い多少は良くなっているのだが、改善されていない点も多い。 前作で問題となった、多段ヒット技における「やられボイス連呼」については何故か改善されていない。「程度があろう!程度があろう!程度が程、程、てて程度があろう!」「おのれぇおのれぇおのお、お、おおおのれぇっ!」と言った間抜けな悲鳴が緊張感を削ぐ。 システム面は、「オート」と「逃走」の追加、その場リトライの実装のみでそれ以外の欠点は改善されていない。また、経験値を稼がなければならないので「逃走」を使用する事はまずない。 その場リトライに関しては「ダンジョン中で死んでもすぐに復帰出来るので面倒さが無くなった」とも「どうせ死んでもすぐ復活出来るので緊張感が無くなった」とも取れる。なるべく死なないように自分で心がければ緊張感を保てるが、常にオート選択して死んだらやり直し、の方が時間がかからない。そしてそれはただの作業プレイである。 総じて、「多少問題点は減ったが、ゲームとして面白くはなっていない」と言った所。特に前作プレイヤーにとっては、二作(×周回数分)同じシステムの戦闘をやらされる訳で、飽きも来やすい。 性別ごとのテキスト差異の微妙さ 女主人公にすると、キャラとの関係に不自然さが出てくる。 男主人公の場合多数の女性キャラクターからの好意が自分に向けられるという「まあギャルゲーとかでよくある光景か」とまだ納得出来るが、それがそのまま女主人公でもほぼ適用されてしまう。 「王子様」と呼ばれたり、「男同士の会談はやっぱり盛り上がるんですね」と男性陣に含められて言われる女主人公の心境は一応本編でもフォローが入っているが、それでもちょっと解せないものがある。 単純に「男性主人公の時とあまり反応が変わらない」だけなので、所謂ガールズラブな「百合ゲー」っぽさは表面的にしか存在しない。 女性キャラクターからの好意はさておき男性キャラクターの女主人公への反応はというと、「人物としては敬愛しているが異性としての好みじゃない」と全員に遠回しにだがすっぱりシナリオで言われる始末。 パートナーの男サーヴァントはアーチャーとギルガメッシュがおり、一応好感度は上がっていき恋人のような雰囲気にもなるがアーチャーは「娘や妹のようなもの(それを僅かに超える感はあるが)」「女性なら誰でも優しくする」なスタンスだったり、ギルガメッシュに至っては「容姿は好みからかけ離れている」とここでもすっぱり。乙女ゲー的な何かを期待していたプレイヤーは少し肩透かしを食らった感があった。 ここで問題となるのがアーチャーの個別エンディング。詳しい事はネタバレになるので書けないが、結局「アーチャーという存在の彼」を幸せにすることは出来ずに終わってしまい、まして女主人公にしてもまったく甘い終わり方ではない。これには前作からFateを知り、アーチャーとそれなりに甘酸っぱい関係を見せられてきた為本作でそれと同等かそれ以上の何かを期待した女性ファン勢(特に二次創作方面)に賛否両論となった。…これはstay nightから繋がる彼の生き方や思想そのものが幸せになれない原因であるのだが、それでもせめて彼と一緒に未来を歩む主人公が見たかったという意見はある。一方のギルガメッシュはなんだかんだで主人公と明るい未来を邁進する個別エンドだった。 ただし、完全に二人称を差し替えただけにしかなっていない前作よりはマシである。 周回プレイにおける不親切さ 周回プレイに対するやりこみ要素は増えたが、既読スキップなどはプロローグを除き一切なく、サーヴァントの会話部分以外目新しい部分が少なくなりがちで周回プレイに対するモチベーションを保ちにくい。 会話の高速スキップは可能だが、既読かどうかは構わずスキップしてしまい、注意しないと一周目とは別のサーヴァントを選んだ際の会話変更部分を見逃してしまうため、非常に使いづらい。また、会話以外の部分(移動など)は当然スキップ不可。 気づいた段階でバックログで文章は確認できるが、ログでは音声は再生されず表情も表示されないとあって、普通に読み進めるのに比べて盛り上がりに欠ける。 プロローグだけはスキップ可能で、すぐ本編に入れる。他のシナリオにもこの要素を追加してくれれば……。 戦闘も、周回プレイなどで行動が全て開示された時点で雑魚戦は負けようがなくなり面倒な経験値稼ぎになってしまうが、その作業を怠るとボス戦で勝てない……と言う前作の問題点が改善されていない。これについては、戦闘システムと密接に関わりすぎて改善が難しかったのもあるだろうが。 ルート分岐に関しても、「もう1つのルートは、通常ルートの途中にイベントが挿入される(ごく一部のシーンとクライマックスのみは変更)」と言う形を取っているため、ルート分岐に関わらないイベントシーンは毎周回ごとに見なくてはならない。 + ※中程度のネタバレを含むので注意 周回プレイにおいて中盤のとあるイベントが非常につらい。 詳細は伏せるが、普段の歩行速度より遅いスピードでただただ前に歩くだけのイベントがあり、10分近くはただ前に進む必要がある。 シナリオと初見プレイの上では納得のイベントであり、その直後の展開も含め非常に盛り上がるイベントではあるのだが、シナリオが分かった上でプレイする2周目以降では退屈な時間になってしまっている。 加えて2周目以降のイベントスキップもゲーム序盤のみ、この箇所は対応していないのがつらい。 周回プレイに関しては、「何周も繰り返していろいろなテキストを読んでいく事が前提」のアドベンチャーゲームの要素が強い本作では「2周目が有っても、あくまでやり込みレベル」のRPGの要素と噛み合っていない、と言えるかもしれない。実際、2周程度ならばまだ、(上記のネタバレ項目を除いて)そこまで強いストレスを感じるほどではないが、3周、4周と続けるにはあまりに不親切。 引継ぎに関しても「引き継げるものは全て引き継ぐ」という強制式のため、「真ルートのために選択肢のガイドだけ出したい(*4)」、「緊張感を保つために2周目で同じサーヴァントでもレベルだけリセットしたい」ということは不可能。 総評 前作にあった数多くあったシナリオの不満点が解決され、「ファンにとっては」良作と呼べる作品。進化した演出とシナリオの質は、大幅に向上している。 一方である程度は万人向けであった前作と比べ、本作は癖が相当強くなっており、奈須氏のファン以外にはやや敷居の高い作品になってしまっている。 また、きっちりシナリオを理解する為には前作プレイが必須であるため、ファンか否かを問わず本作のみを初見のプレイヤーには勧め辛い出来である。 ゲーム面も、一部は改善されたがそうでない不満点も多く、あまり面白くなってはいない。 とはいえ、奈須氏の作品がかなり好きなプレイヤーならば、シナリオ面では強くオススメできる。 その際は、必ず前作のシナリオを把握してからプレイする事をお勧めしたい。 余談 ディレクションを担当した新納一哉氏は本作の制作途中にイメージエポックを退社、同氏が同社で手がけた最後の作品となった。 スクウェア・エニックスに移籍して『ドラゴンクエストビルダーズシリーズ』等を手掛けた後、2019年8月からTYPE-MOONに移籍している。 2013年のTYPE-MOON公式サイトでのエイプリルフールネタ「路地裏さつき ヒロイン十二宮編」にてCCCの桜の扱いが触れられているが、そこでも扱いが悪いかのような文面だったため一部で物議を醸した。 これはライター曰く、シナリオ執筆時期がCCC発売前だったためとのこと。裏を返せばCCCのネタバレに触れていないため、結果オーライだったのかもしれない。「どうせ扱い悪いんだろう」と思ってエアプで書いたことにもなってる気がしないでもないが シナリオライターである奈須氏は、自身の日記で「まだまだ続く」と記しており続編も期待されてたが、肝心のパートナーであったイメージエポックは倒産という憂き目に。だが2016年11月10日、前作EXTRAと本作の発売元であるマーベラスが開発を担った完全続編として『Fate/EXTELLA』が発売。Fate/EXTRAシリーズの血統は無事受け継がれた、かのように思われたが… Fateシリーズのソーシャルゲーム作品である「Fate/Grand Order」では本作の後日談的なシナリオのコラボイベントが配信された。もちろん本作登場のサーヴァント達も入手出来るようになっている。詳細は当項目では脱線となる為割愛。気になる方は各自検索されたし。
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真のゲームカタログ
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Fate/Samurai Remnant 【ふぇいと さむらい れむなんと】 ジャンル アクションRPG 対応機種 Nintendo Switchプレイステーション5プレイステーション4Windows(Steam) 開発・発売元 コーエーテクモゲームス(*1) 発売日 【Switch/PS5/PS4】2023年9月28日【Win】2023年9月29日 値段 9,680円(税込) レーティング CERO C(15才以上対象) 判定 良作 ポイント 初代オマージュの伝奇時代劇アクション宮本伊織とセイバーの絆物語新サーヴァント新マスターも個性的初見殺しの外殻ゲージテンポの悪い霊地争奪戦 Fateシリーズ 概要 ストーリー システム ゲーム アクション その他 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 多数の歴史ゲームを手懸けてきたコーエーテクモゲームスが企画開発を行った『Fate』シリーズの一作。 慶安時代の江戸にて開催される聖杯戦争の亜種「盈月の儀」を舞台にしたアクションRPG。 二天一流の宮本武蔵の養子兼弟子として実在した人物 をモデルとした 宮本伊織(*2)が主人公である。 本編には新サーヴァントのみならず、『Fate/stay night』および『Fate/Grand Order』『Fate/EXTRA』などシリーズ別作品で登場したサーヴァントや関連サーヴァントも多数登場している。 発売直前にはコーエーテクモゲームスより、動画・画像投稿のガイドラインが公開されている。本項でも真名等のネタバレは記載しない。 DLCによる3つの追加チャプターが予定されている。 ちなみにサーヴァントとは実在の著名人(例 織田信長)や、伝説や伝承等の著名な存在(例 アキレウス)をその人物の情報を元に儀式により召喚した使い魔の事。 ストーリー 慶安四年、江戸。 血で血を洗った乱世の終結から早数十年、 民は泰平を享受する日々を送っていた。 だが、その裏で人知れずして七人七騎の殺し合い、 “盈月の儀”が幕を開ける。 浅草に住まう青年・宮本伊織を 渦中へと巻き込みながら─── 公式サイトより引用 システム ゲーム 探索 本作の舞台は慶安時代の江戸であり、賑やかな江戸時代を再現している。イベント・アイテム収集・売買・飲食の利用などが可能。 マップ内には浪人や盗賊、忍者・怪異の出現するポイントが幾つか存在し、立ち入ると伊織たちに襲い掛かってくる。 大江戸稼業 いわゆるサイドミッションであり「共鳴絶技で敵を撃破する(50)」などの項目を達成すると報酬が貰える。 巴比倫弐屋(ばびろにや) いつかどこかで見たような金髪の外国人が営業している質屋。他の万屋では買えない貴重な品が置いてある。 技珠 レベルアップで得るスキルポイントに変換できるアイテム。伊織とサーヴァントのスキル解放に使用する。 魔術工房 伊織の自宅を改造して作った工房で、いわゆる拠点。武器の強化方法、道具の生産などを行う。 異傅 いわゆるサイドストーリーで、主に協力関係にあるサーヴァントとの関わりを描いている。 クリア後は敵陣営にまつわるサイドストーリーが追加される。 犬猫 江戸のマップにいる犬や猫と触れ合うとHPと共鳴ゲージがごく僅かだが回復する。コエテク繋がりで『風花雪月』を思い出したという人もいたり。 町の試練 古びた社・忍び見習いなどの収集要素や、浪人・怪異討伐といったマップごとのサイドミッションで、達成すると報酬が貰える。 名所 特定箇所を訪れると、各種ゲージが回復し、魔術に使用する貴石を入手できる。 わくわくスポット セイバーが特定場所 主に屋台 に興味を示すことがあり、そこでの会話イベントによってスキルポイントを獲得できる。スポットに来るとセイバーは嬉しそうにはしゃぎ出してかわいい。 霊地争奪戦 聖杯戦争の霊脈の奪い合いを江戸の街並みに再現したSRPGパート。 伊織陣営や逸れのサーヴァントなどを動かして、敵の領地を奪いつつ制限ターン数内に目的地に移動するのが目的。 相手側のサーヴァントおよび部下や怪異も同様に動いて来て妨害するので、本拠地から寸断されないように行動する必要がある。 回想戦 これまで戦った強敵との再戦が可能。クリアに応じて報酬が獲得できる。回想戦限定のシチュエーション戦なども用意されている。 アップデートにより伊織以外のキャラでも遊ぶことが可能になった。通常は時間制限があるサーヴァントが好きなだけ使える。本編では操作不可能なサーヴァント・DLCで追加されるサーヴァントも特定条件を満たせば選択可能となる。 アクション マスターとサーヴァントによる協力バトル 本作は伊織とセイバーの2人が協力して敵を倒すアクションRPGである。 操作性こそ無双シリーズのそれを継承してはいるものの、ゲーム性は『P5S』をよりアクション重視にしたもの、かつ『仁王』などTeam NINJAが手掛けるような高難易度タイトルのものに近い。 難易度選択は可能であり、回復アイテムの上限数はかなり多い(使用も瞬時に行われる)。 伊織は剣豪・宮本武蔵直伝の二天一流であり、二刀流と一刀流を併用する。 また魔術の心得が少しだけあり、貴石を消費することで伊織自身の特殊技を使用できる。 ゲーム進行に応じて2~5種類の「型」を任意に切り替えることができる。それぞれで性能が大きく異なるため、状況に応じて使い分けることとなる。 型を効果的に運用した後に他の型に変更すると、一定時間「残光」によって元の型に応じた強化を得る。こうした型同士の連携という点も『仁王』の構えシステムに近い。 セイバーなどのサーヴァントは伊織よりも強力な性能を持つが、イベント時を除き基本的には自動行動となっている。 プレイヤーが敵に有効打を加えると交代ゲージと共鳴ゲージが溜まり、サーヴァントの「共鳴絶技」を使用させたり、一定時間だけサーヴァントを操作することが可能になる。 対サーヴァント戦ではこれらを如何に活用するかが生死を分ける。 共鳴絶技 共鳴ゲージのストックを消費して、サーヴァントの特殊技を使用させる。ゲージはプレイヤーが敵に有効打を与えたり、探索中にサーヴァントとの協力アクションを行う、特定アイテムの使用などで貯まる。 『戦国無双5』の閃技や『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』の戦技などと同じ概念であり、外殻ゲージを削りやすい以上に敵を強制的に怯ませられる・発動中は無敵になるものもあるなど、攻略にとても重要となる。 協力技 戦闘中にセイバーに近付いて表示されたボタンを押すと、2人で協力技を放てる。 協力技は共鳴絶技としても使用できるが、それとは違って外殻ゲージ削り・怯み時間が大きく、共鳴ゲージも若干多く溜まる。 秘剣/宝具 操作キャラは各々専用ゲージを用いる必殺技を持っている。 敵にダメージを与えることでわずかにゲージがたまり、基本的には戦闘エリアのほぼ全域にダメージを与えることが可能。 外殻ゲージ 一部の強大な敵は、HPゲージの他に外殻ゲージがある。外殻ゲージが表示されている敵にはほとんどダメージを与えられない。 敵の攻撃後の一定時間内への反撃、セイバーを含めたサーヴァントの攻撃、応刀(ジャスト回避によるカウンター)、他に共鳴絶技・協力技・魔術など有限リソースを使った攻撃で外殻を削れる。 『stay night』などで言及されたように、サーヴァントや怪異といった神秘を纏うものは人間に対して絶対的な戦闘能力の格差を持つ。これを表現するためのシステムとされる。 伊織はセイバーの他に、逸れのサーヴァント達と協力関係を結ぶことになる。これにより、セイバー以外の持つ「共鳴絶技」や交代を行える。 その他 彫仏 伊織が趣味としている仏像彫りのミニゲームであり、成功して手に入れた仏像は基本的には高く売れる。 刀剣手入れ こちらもミニゲームの一種となっている。成功させると一定回数だけ経験値にボーナスが入る。 喧嘩仲裁 街中の町人同士の喧嘩を仲裁するミニゲーム。タイミングよく正しい側のボタンを押す。 評価点 アクションのサーヴァントバトルロワイヤル 今まで『Fate/EXTRA』や『Fate/EXTELLA』などRPG・アクションゲームとしての派生シリーズ作は出たものの、スピンオフ・番外編であったり派生した世界観による独自路線が強かったりした。 それは本作も同様なのだが、『stay night』に近い聖杯戦争とそのストーリー体験に重きをおいたアクションゲームであり、長年のファンの待望であった「聖杯戦争アクション」が叶ったゲームになっている。 サーヴァントの強さを身をもって経験できるというのもシリーズとしてはなかなか貴重。 時代劇のFate 本作は中世の100万人都市と称される江戸時代を舞台にしており、現代劇が常であったTYPE-MOON作品としても新鮮味がある。 それでいてFateシリーズならではの魔術などの伝奇要素と、歴史・伝承を巧みに組み合わせたフィクションへの昇華も相変わらずの高評価。 江戸時代という点だけ見ればありふれたものかもしれないが、慶安時代を拾ったゲームとなると意外にも少ない。 地名が現東京とあまり変わらないため馴染みある地名が多く、マップそのものはオリジナルだが地域の特徴を捉えたデザインになっている部分もあったり細かい部分でこだわりが見える。 この辺りは数多くの歴史ゲームを手懸けてきたコエテクの面目躍如と言えるだろう。 キャラクターとサーヴァント シリーズ名物のサーヴァント達は今回も高評価。過去の英雄を元にした英霊・サーヴァントは有名どころから、知る人ぞ知るレベルまでそれぞれ。セイバーを初め、みな個性的であり、本編で印象に残りやすい。 一方で『stay night』『Grand Order』などの過去作品で登場したキャラもあれば、姿格好は同じでも全く性格が違うキャラもあり、『Fate』のオールスターゲームとしても楽しめる。 『Grand Order』で初登場したサーヴァントである女性の宮本武蔵が登場。伊織の師匠と同名ということもあり、改めての師弟描写を見せてくれる。性格的には殆ど同じのようで伊織はすんなり納得してそのまま師匠と呼んでいる。 伊織の師匠である男性の宮本武蔵は作中では既に逝去しており、サーヴァントの女武蔵は所謂パラレルワールドの存在でパラレルワールドを移動していることが序盤で説明される。 詳しくは省くが、『Grand Order』の時点で彼女は「並行世界から来た宮本武蔵」という設定のため本作で突然出てきた後付けではない。他のサーヴァントとは異なり『Grand Order』の宮本武蔵と全く同一の存在。 サーヴァント各々の切り札である宝具も例外なく、カッコイイ宝具解放シーンが用意されている。 宝具にも多種多様な設定がある。そのほとんどは王道的な必殺技だが、変身タイプといった変わり種もある。 由井正雪や鄭成功など、サーヴァントになってもおかしくない江戸時代当時の偉人をもとにしたキャラ達がマスターとして参戦しており、印象が特に残りやすい。 名物『Fate』キャラによく似た若旦那についてアーチャーから「人の妻が好きか?」(*3)と問われるなど色々と笑えるやりとりが多い。 兄思いで可愛い妹のカヤ、軽薄だが顔なじみの同心・助之進など、聖杯戦争にかかわらないキャラも本編の良い塩梅となっており、伊織が無辜の民の為戦う理由の一つになっている。 真名当て 概要に述べたように公式でアナウンスされているように真名についてネタバレは固く禁止されている。これは本作が真名当てに重視しているからである。 サーヴァントたちの真名は従来作同様ゲーム進行で判明する。正体不明のサーヴァントから言動や風体で推理するという『Fate/stay night』リスペクトしている作り込みで、推理要素が楽しめるようになっている。 一見鎧で誰かわからないように見えるライダーや逸れのセイバーもセリフ等から推測可能なため歴史に詳しい人であれば考察してみるのも面白いだろう。ただし既に公式で真名が開示されてるため調べる場合は注意。 本作には真名発覚で弱点露呈といったストーリー上での行動につながる展開もあり、本来想定されていた真名隠しの構想を拾っている。 セイバーと伊織 キャラの中でも主人公のセイバーと宮本伊織のやりとりは愛らしく、「わからいでかー!!」などの夫婦漫才のようなコミカルなやりとりが本編を癒やしてくれる。 セイバーは大食漢で好奇心旺盛という、子供のような性格のキャラでついつい食べ物をあげたり、名所に連れてってあげたくなりプレイヤーの母性/父性本能をくすぐってくれる。 一方でセイバーの正体は日本人ならピンと来る著名な人物で悲惨な過去を送っておりそれが『Samurai Remnant』世界の性格に繋がるなど、シリアスな要点も抜かりない。 本作のセイバーは『stay night』におけるセイバーのオマージュが随所に仕込まれていて、ファンからニヤリとできる部分も多い。 伊織はどこぞの『Fate』主人公のように女性キャラに好かれる。一方で、無辜の民を守るため聖杯戦争に参戦するという主人公らしい性格の持ち主で感情移入しやすい。その人と同じく魔術関係については多少扱える程度しか知識がないため周囲のキャラが儀やサーヴァントについて基本的な情報を解説してくれる。そのためFateシリーズ未経験でもついていけないということは全くないようになっている。 ちなみにサーヴァントに食事は一切必要ないのだが戦いには必要ない情報だからか誰からも教えてもらえなかった。 ストーリー 江戸を舞台にした聖杯戦争には、当時の外国との関わりや武士・剣術など多くの事情が盛り込まれ、引き込まれる背景が作られている。 由井正雪の乱(*4)など、当時の事件もそのものではないが元ネタとして取り入れられており、歴史を絡めての考察にも熱中できる。 それぞれの陣営が抱く願い、信条、思いなどが交差して、濃厚な人間ドラマになっている。 また、分岐ルートも存在しており、周回しても楽しめる要素がある。 異傅(いでん) いわゆるサイドストーリー。逸れのサーヴァントや別陣営のドラマは本編で描かれない描写や心情が知られる。 単にバトルだけでなく、エリアや江戸の住人と会話ができる点も良い。例えばドロテアに対する江戸の住人の反応は西洋人に馴染みのない反応をしてくれる。 特にアサシンがマスターのドロテアをお姫様だっこするシーンは色々と衝撃的である。 『FGO』に登場したサーヴァントも多く、彼らのファンは好きなサーヴァントで戦える。 霊地争奪戦 霊地の奪い合いというこれだけでも一本ゲーム化できるほど完成度が高く、熱中するものがある サーヴァントを動かし、どの場所で戦うかなど戦略要素も深い。 油断していると敵も容赦なく霊脈を奪うので気が抜けない戦いとなっている。 バトルアクション 伊織の剣術アクションは5つの型それぞれにコーエーのノウハウが巧みに混ぜられ、挙動やレスポンスの反応も良い。通常の敵は大量に襲いかかってくることが基本で、それをなぎ倒す爽快感もある。 ただし、伊織自身もゲームが進むと怪異やサーヴァントに抗し得る成長を見せていく。これが意味するものとは… 異傅や霊地争奪戦では他のサーヴァントを動かすこともある。彼らにもそれぞれのアクションが用意されており、セイバーの剣さばきやアーチャーの高速射ちなど人間離れしたサーヴァント達のアクションが再現されている。 BGM・主題歌 主題歌の「残夜幻想 feat. 六花 / スパイラル・ラダー」は本編の切なさと熱さにマッチしている。 BGMはどれも評判がよく、場面を盛り上げてくれる。 探索中のBGMは江戸を散歩したくなるような気分にさせてくれる。 雑記帳 キャラクターや用語などが書き込まれていく要は図鑑だがかなり内容が充実している。進行に応じて記述が増えたり開示されていく。ゲームプレイしてるだけでは知り得ない情報も多々載っているため必見。 初代オマージュの数々 キャラや展開に「入りが初代に酷似しているが、結末が絶妙に違う」という要素が多く仕込まれている。 「伊織とセイバー(本作)」は日常パート・戦闘パート共に「士郎とセイバー(初代)」を彷彿とさせるイベントが豊富 初代の「マスターがサーヴァントと闘う」という異常性にスポットライトを当てている。 アサシンのマスターや、年下の世話焼き(影有り)、ホムンクルスなどは初代ヒロイン・サブヒロインを彷彿とさせる。 川を挟んだ先の未知のテリトリーなど初代の深山町と新都の立地を彷彿とさせる。 賛否両論点 ゲームバランス、 サーヴァントの外殻ゲージ 基本的には「サーヴァントは人間とは別格の戦闘力を有する」という根幹設定を前提にゲームバランスが組まれている。これはサーヴァントの圧倒的な強さを実感でき、設定を忠実に再現していることは好意的に捉えられているが、これが 最初のチュートリアル時点でプレイヤーを容易に殺しゲームオーバーにさせる形で提示される ため、どう考えてもアクション初心者が標準設定で気軽に手を出せるゲームでないことは否めない。難易度選択と体験版が存在するため、それらによる検討は必要かもしれない。 加えて、強力な怪異とサーヴァントは基本的に外殻ゲージ→体力ゲージ(外殻ゲージの再出現もあり)と二段階以上かけて削らなければならず、戦闘に結構時間がかかる。 その為戦術としては「共鳴ゲージ回復」→「共鳴技&宝具&協力技」の繰り返しなることが最適とされ、これでは作業になってくるという意見も。特に序盤は外殻ゲージを削りやすい手段がかなり限られるので、余計に時間がかかる。 本作では難易度による報酬の変化や高難易度モードが条件の実績等はない ため、硬いなどと感じるのであれば素直に難易度を下げることをオススメする。ただし、それで作業感が無くなるとは言い切れないが。 アップデートによりさらに簡単な難易度と高難易度が追加されている。 最終的に伊織がサーヴァント並みに強くなるためサーヴァントの圧倒的な強さについての体感は徐々に薄れていくが、ストーリーとしても伊織がそこまで強くなっていくこと自体に意味が持たされているし、Fateシリーズの他作品においてもマスター自身がサーヴァントと交戦したり、出し抜くシーンもあるため設定崩壊しているわけではない。 サーヴァント自体は全体的に攻撃アクションの範囲やモーションが強めになっておりスーパーアーマーも持っているため差別化はされている。 犬猫撫で 町中の犬猫を愛でるマスターやサーヴァント達の可愛い姿を見られると言う心温まるシチュエーション……なのだが、大江戸稼業のために撫でる必要があるにもかかわらず、マスター→同行サーヴァントと順番に撫でるため無駄に長くスキップできないので非常にテンポが悪い。何度も見せられるので飽きる。 ボタン連打によって回復出来るが、回復量は脅威の1単位で、ボタン連打してなお実用性は殆どない。 伊織以外のキャラ操作パートでも撫でることができ、セリフやモーションも用意されている。ただしアサシンなど一部のキャラは同行してても撫でなかったり、そもそも操作時には犬猫が配置されなかったりする。 サーヴァントの人選 登場したサーヴァントを素直に歓迎する声もあれば、日本が舞台なのに、江戸時代の日本では知名度もないような外国のサーヴァントが次々出てくる展開に違和感があるという声も。 ただしシリーズでも地域とは関係ないサーヴァントの方が多く、場所や時代の知名度補正というのも設定上存在しているため特段おかしなことではない(*5)。何より、「○○を出して欲しい」と言われてもキリがないのだが。 とはいえ、「サムライ」とタイトルに冠しながらサムライと呼べるようなキャラクターが非常に少なく、せっかくの江戸時代なのに幕府や徳川の関係者も特別でてこない(名前だけなら出る)のが残念、と言う意見も一定の理解は出来るところである。 また、基本的に聖杯戦争を扱った作品は現代や近未来を舞台にしている(*6)ため、「わざわざ現代以外に設定したのだから、その土地に根ざしたサーヴァントが多く出るのだろう」と言う期待を抱いたプレイヤーが少なからずいた、と言うのもこうした意見が出る理由の一つだろう。特に『帝都聖杯奇譚 Fate/type Redline』は本作発売前の数少ない「近代以前(昭和20年の東京)を舞台にした聖杯戦争」作品であり、そちらでは日本のサーヴァントが大量に登場するため、そちらと比較されたと言うのも大きいか。 ただ、その『Redline』を含めた、Fateシリーズに登場する日本出身のサーヴァント・物語の一部(*7)は「ぐだぐだシリーズ」と総称される外伝作品に属している。このシリーズは「あくまでスピンアウトであり、本編シリーズとは世界や設定が異なる」と言う立ち位置なので、他の作品へのゲスト出演が難しい、と言う事情もある(ただしこの事情はインタビューなどで時折語られているのみで、『Grand Order』のゲーム中ではあまり区別されずに出演しているため、コアなプレイヤーしか知らないのも仕方ない所ではある)。 同じく近代以前を舞台とする事が多い『Grand Order』のシナリオではご当地サーヴァントの活躍が多いのも、そうした期待を煽ってしまった一因だろうか(そちらは通常の聖杯戦争ではないので事情は大きく違うのだが)。 宝具 ゲーム上の演出とバランスであるから仕方ないのであるのだが、宝具を発動してもそこまでの威力は無い。宝具は一撃必殺の技と称されるためどうも違和感を覚えやすい。 真名バレになるので、ほとんどのサーヴァントが中盤以降しか放てない。 DLCで使えるようになる若旦那は他のサーヴァントと違い宝具が使用できず共鳴技も一つしかない。使わないのも本気を出さないのもむしろ設定としては正しく、あくまでDLC1弾のおまけのファンサービスに留まっている。真名開示もされないため、シリーズを知らない人からすれば手抜きに感じるかもしれない。若旦那の性格については本編中でもわかるようにはなっているがそれだけで納得できるかは微妙なところである。 問題点 霊地争奪戦 SRPG風に進められるが、若干サーヴァントや伊織の移動に時間がかかる。 またわざわざ紅玉の書が「○○を取ったぞ」「○○を取られたぞ」などの戦局を報告してきてテンポが悪い。 敵の進み次第で失敗すると全て一からやり直しになってしまう。途中で任意セーブが効くのが救いか。 人間敵の外殻ゲージ サーヴァント・怪異のみだけではなく、一部の盗賊や浪人などといった強敵にも外殻ゲージが存在する場合がある。 サーヴァントはまだ人間とサーヴァントは能力格差があるから仕方ないが、魔術心得のあるとはいえ一部の人間まで固くしてしまっているとなると、せっかくの伊織の剣術アクションの迫力が薄まるという声も。 サーヴァントのアクション性能による格差が大きい。 セイバー以外の他のサーヴァントは技が固定であり扱い辛いという意見もある。 特にランサーやアサシンはモーションが大きくスピード感あるような動きが出しづらいため苦戦しやすい。 ルート分岐 中盤と終盤それぞれの選択肢によって、キャラの生死とラスボスが3つに分岐する。しかし『stay night』のような大きなルート変化を期待すると肩透かしをくらう。 ただし、2周目以降限定の隠しルートは2ルートとは全く異なる結末を迎える。 ルートによっては真名開示されず、所謂ナレ死してしまうキャラもいるため、その部分のみは周回前提のつくりになっている。 既読スキップや、イベントスキップなどシステムとしては充実してる上、異傅に関しては一度クリアすればそのデータではいくら周回してもクリア済み判定になっていたりと苦にはならないようにはなっている。ただし、霊地争奪戦は再度プレイが必要。 グラフィック PS5世代のゲームではあるが、背景の作り込みが甘く岩や植物などが安っぽく見える。 Switch版はさらに質が悪く、街での移動中は常時処理落ちも同然で動きが非常にカクカクする。 イベントシーンや戦闘中では処理が多少軽くなるものの全編を通して快適に遊べるとは言い難い。 回復アイテムがやや入手しにくい 共鳴ゲージ回復や体力回復アイテムは町の屋台から購入・イベント入手・敵のドロップからの入手となるが、このうち購入に関しては店舗ごとに一度に買える数の制限がある。数を集めるには各地の屋台を回る必要があり、少々面倒。 慣れていないプレイヤーほど各種回復アイテムを湯水のように費やす羽目になるので、この点は辛い。 総評 Fateファン待望のアクションRPGで描かれる聖杯戦争であり、江戸時代劇とのミックスも相まって高評価である。 シナリオも多くの魅力的なサーヴァント達と江戸時代の著名な人々が登場して、濃厚な人間ドラマを描いた作品になっている。 余談 公式では既にサーヴァントの真名が公開解禁されているため、本作の公式サイトやX等で当然のように真名が表記されている。ゲームを買うために情報を集める場合は注意が必要。 『Fate/Grand Order』では2024年1月に本作とのコラボイベントが行われ、本作から主人公の伊織を含めた4体のサーヴァントが実装された。こちらでも告知ページの時点で真名が開示されていた。 内容としては『Grand Order』寄りの世界で儀に再度巻き込まれるあらすじから展開される、本作の後日譚となっている。武蔵はとある事情により未登場。 ちなみに、『Samurai Remnants』本編の武蔵は、『(発売から数年前に開催された)期間限定のサマーイベントに登場する直前』という時系列設定になっている。これはイベントの時点でSRの企画が始動していたため。その後武蔵がどうなるかはメインシナリオにて語られており、コラボイベントで未登場の理由にもなっている。 本作中では明言されないが、資料書籍『Fate/Samurai Remnant material』では作中世界が剪定事象(*8)である旨の記載がある。 作中で伊織が豚にされ、操作可能かつセリフもボイス付きで変わる場面がある。この豚にされた伊織のぬいぐるみが受注生産で販売されており、これが伊織の初立体化商品である。
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注意 本稿では、オリジナルのAC版『Fate/unlimited codes』と、同PS2・PSP移植版について記します。双方ともに「バランスが不安定」判定です。 Fate/unlimited codes 概要 システムと特徴 キャラクター デフォルトキャラ タイムリリースによる隠しキャラ 家庭用版追加キャラ 賛否両論点 度が過ぎたコンボゲー その他の賛否両論点 問題点 試合展開が地味 キャラランクのバランスの悪さ 登場キャラクター選別について 評価点 原作愛 主人公勢以外のifルートの完成度の高さ 世紀末らしさ BGM 総評 Fate/unlimited codes (PS2版) Fate/unlimited codes PORTABLE 概要(移植版) 問題点(移植版) ゲームバランス システム面 評価点(家庭版) 総評(PSP版) 余談 Fate/unlimited codes 【ふぇいと あんりみてっどこーど】 ジャンル 対戦型格闘ゲーム 対応機種 アーケード(SYSTEM246) 販売元 カプコン 開発元 カプコンキャビアエイティング 稼働開始日 2008年6月11日 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント 「世紀末聖杯戦争」タイトルに違わずunlimitedに続いていくコンボ『一度のミスも許されないゲーム』(byアルカディア)キャラゲーとしては申し分ない原作愛 注意 本記事は『Fate』本編の若干のネタバレを含みます Fateシリーズ 概要 今やPCゲーム界でその名を知らないものはいないほどの、TYPE-MOONの「伝奇活劇ビジュアルノベル」こと『Fate/stay night』。 一時期コミケなどを筆頭とする同人界をFate一色で埋め尽くすほどの勢いを見せていた本作には、ファンディスクやスピンオフをはじめとする多数の外伝が存在する。 そのひとつである本作、簡潔に言えば「『Fate』のキャラを用いた2.5D格闘ゲーム」である。なお、この記事では以降本タイトルを『uc』と略す。 TYPE-MOON作品を原作とする格闘ゲームの大先輩としては『月姫』スピンオフである『MELTY BLOOD(通称「メルブラ」)』があるが、同人ゲームからの商業進出を果たした同作とは違い、新規開発。 開発担当は同じ『Fate/stay night』のスピンオフ『フェイト/タイガーころしあむ』で実績のあるキャビア、パブリッシュは格闘ゲームの大御所カプコン。又、後に同社の『タツノコ VS. CAPCOM』を手がけたエイティングも参加した。 システムと特徴 本作のグラフィックはほぼ3Dで描画されているが、全体的な操作感覚は2D格ゲーに近い。 3D空間のステージにおいて「回り込み」という共通操作によって軸移動が可能だったり、軸がずれて画面端専用コンボが繋がらなくなったりなど影響はある。 弱、中、強、そして「リフレクトガード」の4ボタン制。弱 中 強の順でタイミングよく入力することで攻撃を繋げられるシステム「スラッシュレイブ」(所謂「チェーンコンボ」系のシステム)が搭載されている。 本作の体力ゲージは2本分の表示になっている(RB餓狼シリーズに近い形式のライフバー)。 「魔力ゲージ」と「魔力開放」 格闘ゲームによくあるパワーゲージの類で、様々な動作に使用する。100%で一区切り、最大300%まで蓄積できる。 本作は強リフレクトカウンターやコマンド623強の必殺技・一部の超必殺技など、ヒットさせることで相手の魔力ゲージを減らせるゲージ消費技が全キャラ共通で1つ以上存在する。つまり、自分だけでなく相手のゲージにも影響を及ぼせるため、自身のゲージマネジメントは非常に重要となる。 本作の特徴的な動作として「魔力開放」がある。同世界観先輩作『MELTY BLOOD』の「強制解放」に酷似したシステムであり、ゲージ100%以上の時に使用可能。発動中は常時体力が回復するほか、発動時の攻撃判定で相手を吹っ飛ばす、通常技に削りダメージが追加といった恩恵が得られる。 また、全てのキャラクターには「魔力開放中のみ発揮される特殊能力」が備わっている。士郎の「聖剣の加護」(MAX開放中における体力回復量が通常より大きくなる)、アサシンの「宗和の心得」(MAX開放中に繰り出した技がリフレクトガードできなくなる)など。ただしこの特殊能力の多くは、魔力ゲージ300%MAXの状態で魔力開放(『BLOOD HEAT』にあたる)しないと効果を発揮しない。 魔力開放はコンボ中や被ダメージ中にも発動可能。前者は硬直をキャンセルして出せるためさらにコンボを繋げられるが、代わりにふっ飛ばしと体力回復ができない。後者は吹き飛ばし効果による緊急脱出技に変化するが、この場合魔力ゲージを200%も消費するためおいそれとは使えない。 「リフレクトガード」と「リフレクトキャンセル」 このゲームの特徴的なシステムのひとつ。相手の打撃攻撃を弾き返し、相手に多大な隙を発生させる。いわゆる「弾き」「ガードインパクト」や『MELTY BLOOD』でいうシールドにあたる。この際続けて攻撃ボタンを入力することで、ボタンに対応した攻撃「リフレクトカウンター」を出すことができる。 リフレクトガードはこちらの出した攻撃の硬直をキャンセルして出すことが可能。これは「リフレクトキャンセル」と呼ばれ、発動時に魔力ゲージを60%消費する。「誘い」を絡めた技の読みあいに深みが増したり、『GUILTY GEAR X』シリーズの「ロマンキャンセル」などのように使用できるなど、攻防において欠かせないシステムとなっている。 「聖杯ゲージ」 両プレイヤーで共有しているゲージ。格ゲー全般を見渡しても類似する概念の採用例は後続の『UNDER NIGHT IN-BIRTH』など指折り数えるしかない程珍しいシステム。お互いのダメージに応じて一本のゲージが溜まって行き、最後に聖杯ゲージをMAXにしきった側のプレイヤーは一定時間内にMAX魔力解放を行うことで「聖杯開放」が発生し、さらなる効果を得られる。 聖杯開放時にのみ使用できる最強の超必殺「聖杯必殺技」は一部のダメージ補正を受けないなどの特殊な性質を持つ、『MELTY BLOOD』のラストアークなどに近い位置づけ。 他にもガードキャンセル、アドバンシングガード等、MARVEL VS CAPCOMシリーズに近くオーソドックスで癖の無いシステムが搭載されている。 キャラクター キャラクターは原作からほとんどが網羅され、全13人が存在する。 デフォルトキャラ + キャラクターを選ぶがいい。 セイバー 「剣の騎士」のサーヴァント。stay nightのメインヒロインの一人。飛び道具こそ魔力開放中の超必殺技に限られるが、それを補って余りある攻め手の優秀さと使い勝手の良い剣技が揃っている。開放中は、防御面もガード不能技や遠距離攻撃ですら取れるカウンター超必殺技のおかげで堅牢に。 突進技「ファーストエア」は魔術系の飛び道具に対して無敵状態であり(*1)、魔術師キャラ相手に押せ押せの戦いができる。 超必殺技「風王鉄槌(ストライク・エア)」を絡めたループコンボ・通称「ストライクループ」や、画面端専用の「エルフィンループ」によるゲージ回収能力と火力は、ucセイバーの代名詞にして本作の特徴を端的に示す大きな魅力。 衛宮士郎 『Fate/stay night』主人公であり、セイバーのマスター。技のリーチに乏しい代わりに全般的に技に癖が無く、所謂「格ゲー三種の神器(飛び道具・対空技・突進技)」をきちんと備え、コンボも覚えやすいため初心者でも扱いやすい。 やはり強キャラ相手には苦戦しがちだが、移動技「ダッシュ・フェイント」とそこから出せる派生技を利用した択の強さや、一人だけ魔力開放時の体力回復量が多いなど優遇されている点もあり、一方的な勝負にはなりにくい。 ランサー 「槍の騎士」のサーヴァント。リーチの長さと攻撃の出の速さを両立しているハイスペックなキャラ。通常・必殺技共に充実しており、癖も無い部類で扱いやすい。 原作『stay night』では「第五次聖杯戦争最速のサーヴァント」とされ公式では総合的な戦闘能力もトップクラスだと評されているが、ある理由によりその全力をふるう機会はたった1戦だけでそこもやや尻切れトンボ的に終わる。その後も活躍に恵まれない不遇ネタが板についてしまったが、本作ではその鬱憤を晴らすかのような大暴れを見せる。 ライダー 「騎兵」のサーヴァント。近~中距離に対応可能だが、全体的に挙動がトリッキーで扱いこなすにはコツがいる中~上級者向けのスピードキャラ。鎖で絡め取った敵を地面に叩きつけ強制的にダウンを奪う「(強)レスティブシュート」からのセットプレイ(起き攻め)と、画面端におけるループコンボ(通称「足コキ」)による強烈なゲージ奪取力が長所で、立ち回り面のバランスが非常に良いキャラだが、コンボの火力は低め。 あるゲージ技の使用後はMAX魔力開放で「魔眼キュベレイ」が発動し、相手の動作を鈍化させることができる。(*2)。 バーサーカー 図体が他のキャラに比べて大きい「狂戦士」のサーヴァント。外見通りのヘヴィーキャラだが力技一辺倒ではなく、飛び道具・対空・コマ投げ・突進・そしてスーパーアーマーと小技も充実している。見た目通りリーチも長めなので威圧感は凄まじい。 MAX魔力開放中は「十二の試練」が効果を発揮し、11hit分のスーパーアーマー効果を得る(ただし単体でヒット数の多い技も多数存在するので過信は禁物。原作と異なり防御力も特に上がらない)。 やはり火力は本ゲーム一二を争う壊れっぷりで、組み込む技の特性により魔力開放による脱出すら許さない。しかし大型キャラの宿命か機動力の低さが足を引っ張る。特に飛び道具持ちには致命的に弱く、中でもギルガメッシュには圧倒的に不利となっている。彼は原作でもギルガメッシュとの相性が悪すぎたために大敗を喫すのだが、それはこのゲームでも見事に再現されてしまった。 ちなみに原作では敏捷パラメーターでさえセイバーやランサーと同じAランクであり、それほど鈍重な扱いはされていなかった。 ギルガメッシュ 「弓兵」のサーヴァントだが、後述するアーチャーとは別人である「人類最古の英雄王」であり、本来は存在しない筈の8人目のサーヴァント。二種のモードを切り替えながら戦うキャラの例に漏れず、多くのスキルをプレイヤーに要求する作中随一のテクニカルキャラ。 乖離剣エアを振るう小回りが利き守りに秀でた「エアモード」と、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)による優秀な飛び道具とリーチの長い通常技を擁した「バビロンモード」を使い分けるが、全体的に出の早い技が少ない。無敵技の切り返しだけでなくモード切替にもゲージが30%必要(=ゲージ管理が殊更重要)であり、機動力の低さとあいまって格ゲー界のモード切替キャラの中でもとりわけ難易度が高い。 聖杯必殺技が順押し(デッドリーレイブ)型、飛び道具「天の鎖(エルキドゥ)」がボタン溜めで発射タイミングを自由にずらせるなど、単純に扱いを難しくするような技の仕様も多いが、その分、潜在能力もキャラ間の相性面でも抜群に恵まれている。 アサシン 名目上「暗殺者」のサーヴァント。(*3)長刀を使ったリーチが特徴だがランサーに勝る点が少なく、光る部分を活かして戦って行かないと厳しいキャラ。 超必殺技の「燕返し」は原作の特性が再現されており、至近距離だと「回避も防御も不能」の必中技となる。 キャスター 「魔術師」のサーヴァント。主に設置技や飛び道具を駆使して戦況を展開していくキャラだが、立ち回りも火力も切り返しすらも極端にゲージ依存度が高い。 正面切っての戦いが苦手だった原作と同様、格ゲーとしてもダントツの弱キャラでほとんど勝負が出来ないレベルとまで言われていたこともあったが、本作で頼れる最大の武器として、全キャラ中どころか格ゲー界でも屈指のおぞましさとまで言われる起き攻めが光る。 しかもどこからでも相手を強制ダウンさせる対空追撃技のおかげで、遠距離攻撃からでも安定して起き攻めに持ち込めることに加えて、移動性能は悪くないのでとても嫌らしい戦い方が可能。 遠坂凛 メインヒロインの一人で、アーチャーのマスター。本作では八極拳を用いて戦う機動力に秀でたキャラで、当たり判定の小ささやレスポンスの軽快さもあって扱いやすい。ゲージ非消費版は弾数有限ではあるものの飛び道具も持つ。 攻撃のリーチこそ短いものの、飛び道具は有限なだけあって強力な物が揃っており搦め手も効く。 後述する「補正切り」のおかげで火力はゲーム上位クラス。一度画面端まで追い詰めればあとは彼女の独壇場になる。 アーチャー 第五次聖杯戦争における「弓兵」のサーヴァント。同じ兵種のギルガメッシュと同様にモードチェンジを持っており、弓と剣を使い分けて戦うがやはりどちらのモードも一癖ある中~上級者向けキャラ。 難度こそゲーム中屈指のものだがコンボ性能が高く、モードチェンジと本作中で(ゆとりと評されるほど)容易な「補正切り」を利用した高火力が持ち味。 またゲージを消費して原作における切り札「無限の剣製」の一小節を一回ずつ詠唱することができ、「6回の詠唱を終えた後にMAX魔力開放を行う」ことで「無限の剣製」を発動させることが出来る。 この「無限の剣製」中限定の超必殺技「無限の剣舞」は聖杯必殺技に匹敵する破壊力を誇り、「魅せキャラ」としての人気も高い。ただし6ゲージ消費した上に3ゲージを溜めきるのは尋常ではなく難しいため、2R制で見かけることはまずない。 タイムリリースによる隠しキャラ + キャラクターを選ぶがいい。 言峰綺礼 凛の格闘技の師であり、聖杯戦争の監督者。凛と同じく八極拳を使って戦う。 連携技からの択やコマンド投げを利用した崩しと、画面端限定の高火力コンボによる爆発力が強みのキャラクターでコンボも比較的簡単なので扱いやすい。攻守の起点になりコンボにも必須な飛び道具「黒鍵投擲」の弾数制限や、リーチの短さは弟子以上にネックとなる。 間桐桜 メインヒロインの一人で、遠坂凛の実妹。リーチが長く中距離での制圧力に秀でる、いわゆるダルシムタイプの特性。加えてキャスターばりの強力な起き攻めは「熟練者の起き攻めは人間には見切れない」と言わしめた。 ただし、低火力・低機動力・紙装甲という致命的な三重苦を背負っているのでキャラランクは最下位。 ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト 遠坂凛のライバル。原作では出番がほぼ全く無いキャラだが、移植やメディアミックスで描写された「プロレス技を用いる魔術師」というユニークな一面でワンシーンのうちに強いインパクトを残し、サプライズ枠として参戦を果たした。 「投げ技でループコンボを行う」という格ゲー界でも珍しいことをやるキャラクター。ループコンボに入るまでの難度と立ち回りの弱さからダイヤグラム的には弱キャラとされるが、一度ペースを掴めればたとえ強キャラであろうとそのまま殺しきれる凄まじい火力のお陰で、実戦値は高い。 家庭用版追加キャラ + キャラクターを選ぶがいい。 バゼット・フラガ・マクレミッツ 『Fate/hollow ataraxia』より参戦。聖杯戦争のために魔術協会から派遣された男装の麗人。素手で戦うためリーチにこそ劣るが、自身を強化する技と他のキャラと一線を画すラッシュ能力、そして機動力を武器とする。 「後より出て先に断つもの(アンサラー)」と呼ばれる設置技を持ち、これを組み込んだコンボの火力や、崩しからのラッシュは屈指のものを秘めているが…。 セイバー・オルタ 聖杯の泥に汚染されたセイバー。機動力こそ失われたが通常必殺技としての飛び道具を獲得し、さらにオリジナルに勝るとも劣らない強力なコンボを有する。体力の多さも相まって、一度このキャラに奪われたリードを取り返すのは難しい。 リーゼリット イリヤスフィール(バーサーカーのマスター)に仕えるメイド。鈍重ではあるがかなりのリーチとスーパーアーマー付きの技を有し、「マイルドなバーサーカー」とでもいうべき性能を持つ。 バーサーカーと違い、MAX魔力開放中のスーパーアーマー能力「アイゼン・レーム」にはhit数の限界がない。代わりに体力は桜と同等・ゲーム中底辺クラスで、アーマー技ないしアイゼン・レームに頼ったゴリ押しは相当リスクが高い。 ゼロ・ランサー 時系列上では過去作となる『Fate/Zero』からゲスト参戦してきた「槍の騎士」のサーヴァント。そのためランサーとは真名・能力ともまったくの別人。 二つの槍を二刀流で構え、槍ならではのリーチの長さとラッシュ能力を兼ね備える。体力上限値を強制的に減らす技も存在する。 しかし、このゲームが後に違う意味で人々の注目を引こうとは、誰が予想できたであろうか…。 賛否両論点 度が過ぎたコンボゲー ゲーマー達は「このゲームはキャンセル手段が多いからコンボゲーになるだろう」という予想を稼働当初から行っていた。 そしてその予想は見事に的中…するどころか、研究が進むにつれ「コンボゲーの中でも頭一つ抜けた凄まじいコンボゲー」という本質が姿を現し始め、結果プレイヤーたちの予想をはるかに超えたコンボゲーになってしまった。 まず、このゲームのほとんどのキャラクターはループまたはそれに近いコンボが使える。「被ダメージに応じて相手の攻撃による浮き方に補正がかかる」という仕様があるため一応限界はあるのだが、それでも大半のキャラが10秒以上、コンボの長いキャラでは20~30秒以上のループコンボを所有する。そしてこのようなループコンボが「牽制技・崩し・カウンターヒットなど多くの状況から可能」。つまりちょっとした小技を喰らっただけで20秒近く体力が減るのを眺める羽目になる可能性が大きく、行う側も長いコンボレシピを覚えてすかさず切り込まねばならない。 たちの悪いことにライダーや言峰など、一部のキャラは「相手の魔力ゲージを減らす技をコンボに何度も組み込んで、魔力開放による脱出をさせないコンボ」を実行できてしまう。問題の技は自身のゲージも消費する欠点はあるものの、最小消費30%はコンボ中に容易く回収できるほど安い。 永久コンボを持つキャラも数名存在する。脱出手段はあるとはいえ、このコンボは実質的に魔力ゲージ200%を一気に奪う必殺技としても機能する。 ほとんどのキャラで後述する「ジャンプキャンセルキャンセル(JCC)」や各種ディレイが基礎コンボに求められるため、元祖世紀末ゲーの某スポーツアクションや、同社世紀末ゲーの先輩・戦国陸上に匹敵するコンボレシピの長さと完走難易度を誇る。トップレベルのプレイヤーでさえコンボミスは珍しくない。 + 実際に見てみたい方はこちらへ。 言峰サッカーvsストライクループhttp //www.nicovideo.jp/watch/sm4328488 他のキャラクターもだいたいこんな感じであるhttp //www.nicovideo.jp/watch/sm5329288 投げループ、ゲージ状況によっては死ぬまで続けられるhttp //www.nicovideo.jp/watch/sm10944454 全て実戦での出来事であるhttp //www.nicovideo.jp/watch/sm5094388 + なぜこんなことになってしまったのかというと… 「ジャンプキャンセルキャンセル必殺技(以下JCC)」 「ジャンプキャンセル(以下JC)可能な技→ジャンプ→その予備動作中に必殺技」でコンボをつなぐ少々特殊なテクニック。これ自体は他の格ゲーにもちらほらと存在するのだが、このゲームにはこういった「JC可能な必殺技」が比較的多めに存在する上にコマンドの仕込み入力も出来るため、始動技こそ限定されるものの「必殺技キャンセル必殺技」という芸当を特に制限やコストを必要とせず1コンボ中に何回でも行うことができる。当然ながら、JCCが発見された後はコンボの自由度は一気に跳ね上がり、さらなる発展を見せたのは言うまでもない。 リフレクトキャンセル・技キャンセル開放 システムの項でも説明したが、リフレクトキャンセルのゲージ消費は60%。リフレクトキャンセルは「1コンボ中に一回しか発動できない」という制約はあるが、コンボによって消費したゲージ分を容易に取り返せるため、必然的にコンボの自由度は想定以上に跳ね上がった。 その上一度リフレクトキャンセルを使っても、ゲージが100%残っていればキャンセル魔力開放を行ってさらにコンボを伸ばせる。 ゲージの増減 減少する/させられる機会が大きい魔力ゲージだが、その分増えやすい部類でもあるので意外と粘りが効く。だが豊富なゲージ減少技をコンボにガンガン組み込むことも可能なせいで、上手くはまった時はやはり世紀末ばりの一方的な展開にいたることも多い。 「ジャンプ中に落下速度の制御が可能」 これに加えて着地隙が少ない仕様により、多くのキャラで「何かしらのコンボをして相手を空中に打ち上げる 空中で攻撃を当てて浮かせる 急降下して先に着地し、地上で相手を拾う 空中で相手を浮かせて着地 拾い~」のループが成立しやすくなっている。 「相手を拾いやすい」 このように本作は他の格闘ゲームにも増してコンボを継続する手段が多く、いわゆる「コンボパーツ」になりうる技・テクニックが非常に多い。そのうえ「多くの技がカウンターヒットすると硬直が増えたり、ダウンまでの時間が長くなる」「空中でカウンターヒットになると相手が地面でバウンドして追撃可能状態になる」など、全体的にコンボが伸ばしやすい調整がされている。 例を挙げれば「一部キャラの超必殺技は出し切った後orヒット中、別の技で拾ってコンボ継続可能」「空中にいる敵を対空技でカウンターするとバウンド中の敵を追撃してコンボへ」「壁際限定のダウン拾いコンボ」など、些細なミスが命取りになる世紀末仕様。 ただし、この仕様のおかげで格ゲーの常識にとらわれないコンボ構築が可能となり、結果さらなるコンボの発展、研究意欲が沸いたというメリットもある。 「『uc』の補正切り」 通常「補正切り」とは「本来なら繋がるコンボをわざと中断→相手が動揺、または油断したところでコンボ始動技を入れ直す→そこからコンボを繋ぎなおす」とすることで、初手のコンボをきっちり入れ切った時よりも大ダメージを狙う、という心理と仕様の隙をついたテクニックの事を指す。 しかしこのゲームにおける「補正切り」とは「超必殺技のコンボダメージ補正を、他の技を重ねて消し去る」ことを意味している。コンボに超必殺技を組み込んだ場合、通常ならダメージが50%低下する補正がかかるのだが、「超必殺技発動後~ヒットまでの間に、予め出しておいたそれ以外の攻撃がヒットする」と、そのスーパーキャンセル補正が無くなるというバグが存在するため、これを利用すれば超必殺技を高威力のままコンボに組み込める。使用できるキャラは限られるがその該当キャラの平均火力はもれなく上昇。本作の世紀末コンボゲーっぷりにさらに拍車がかかることになった。 「起き上がりに背後から中段技を当てることでガー不起き攻めになる」 かなりの高難度だがガー不起き攻め出来るキャラを増加させた要因。本作のコンボ火力やゲージ削りコンボの存在を考慮すると、地味ながらも凶悪な仕様である。 この「すさまじいまでのコンボゲー」状態から、本作は「世紀末聖杯戦争」という渾名がついてしまった。 重ね重ね、北斗の拳 (AC)の惨状になぞらえたものであることは言うまでもない。 その他の賛否両論点 ステージによって広さが大きく異なる この仕様により、画面端コンボが強力無比なセイバー・凛・言峰使いなどは狭いステージを選びたがり、その相手や遠距離戦が得意なキャラは広いステージを選ぶというのが対策の一環として周知徹底されている。ステージ選択権を得るかどうかから既に戦いは始まっているのだ。 問題点 試合展開が地味 熟練者の試合はジリジリ地上で距離を窺いつつ牽制合戦→技が刺さったらループコンボという、見た目には並の差し合いゲー以上に地味で面白味の欠けた試合展開になりがちである。 が、これは仕方が無い。「何か技がかすればそこから長いコンボで大ダメージ」「リフレクトキャンセルの存在があるため、相手の硬直、技の空振りに技を差し込みづらい」「空中ガードが無いためうかつなジャンプは自殺行為」などの要因があるため、そうせざるを得ないためである。 ただし、キャラによっては案外飛び込みも多い。 ゲーム専門誌『アルカディア』において「一度のミスも許されないゲーム」と評されたのもむべなるかな。 魔力開放・リフレクトガード(リフレクトキャンセル)・アドバンシングガード・ガードキャンセル等全キャラ共通の行動だけでも魔力ゲージが絡むものが多い上、多くのキャラが魔力ゲージを消費するアクションを頻繁に使うことになるため、熟練プレイヤーからは「ucはゲージ管理ゲー」とも評される。 キャラランクのバランスの悪さ ゲームバランス自体の練り込みの甘さも多々指摘される。これは「二強」だけでなく「三弱」の存在が如実に示している。 + 三弱(キャスター、アサシン、桜)の場合 キャスター 近距離戦を不得手とし、飛び道具と設置技で戦うキャラ。しかしノーゲージ技は飛び道具の性能が頼りない(=いわゆる「シューティング」状態に持ち込むことが困難)うえに尽く低火力で、とにかくゲージがないと攻撃面での立ち回りに事欠くばかりである。逃げ性能は悪くないので、必然的にキャスターの戦術は「便利な移動技で逃げながら、飛び道具やリーチの長い攻撃で相手を動かし、事故を待つ」いわゆるチキンプレイになりがちだが、そうでもしなければ勝ち目がない。 だが一旦転ばせれば、キャラ紹介でも述べた通り「おぞましい」起き攻めが幕を開ける。相手が喰らい状態で空中に浮いてさえいれば、拘束して強制的にダウンを奪う追撃専用技「病風(アエロー)」により様々なコンボ・設置技から起き攻めに持ち込めるため、ハマれば強キャラであろうとそのまま一方的に踏み潰せる。上述した高難易度のガー不起き攻め連携も持っている。 状況は選ぶがゲージを吐けば上位クラスの高火力を叩き出す事もでき、画面端限定だが簡単なレシピかつ相手のゲージを増やしにくい永久コンボも持つなど伸びしろは大きい。起き攻めの苛烈さもあって「キャスターの格付けは難しい」と語るプレイヤーも存在する。事実、闘劇 09の本戦にもキャスター使いが出場していた。 しかし、起き攻めも難しいとはいえ抜ける手段は存在する。一度起き攻めのループから抜けられてしまうと、ゲージを取り戻して再びチャンスを掴むまで生き延びられるかどうか怪しい…と言う点から、高く見積もっても中堅以下にとどまるのは確か。原作のキャスターはサーヴァント同士の直接戦闘を不得手とし(*4)、知恵と謀略を張り巡らせて相手を追い詰めるタイプのキャラクターとして設定されている。このことから設置技などを主軸とし、嫌らしい立ち回りから起き攻めに特化したスタイルになったのも、設定を考慮すればよく出来ていると言える。起き攻め拒否ができるためセイバーとの相性まで原作通りだが…。 アサシン 長い刀によるリーチの長さと、安定して追撃が決まる投げと必殺技の多くが優秀ではあるが、総合的にランサーの下位互換的な性能でしかない。全体的にコンボを入れづらく、攻めの選択肢が少ないので固めや起き攻めも弱く、後述する「鬼風ループ」を絡めないと火力も低いという三重苦。そして技の出の遅さや硬直の長さなどから距離を詰められると厳しい戦いを強いられる。空中攻撃も頼りない。 長所のリーチも体術がメインなど機能する相手には有効なのだが、このゲームは体格・踏み込み・武器などの都合でリーチの長いキャラが多く、特別リーチが長いわけではない。よって実際に目立つ長所は投げから追撃が入る程度になっている。 最大の問題点として、全体的にコンボ難度の高い本作の中でも、先に述べた通りアサシンのコンボ(通称『鬼風ループ』)は「このコンボでレバー(パッド)が壊れた」という声が上がるほどの高難度。「6469A JCC 4217C」というJCCが絡む困難なコマンドを繰り返してループせねばならず、さらに相手キャラクターの重量とヒット数による重力増加を考慮して適度にディレイを加える必要もある。あまつさえ、 この困難なループコンボをマスターして初めて『uc』におけるコンボの平均的な火力が出るというリターンの釣り合わなさ がアサシンの弱さに拍車をかけている。 元々総合的にはあまり強力なサーヴァントとは言えないのだが、原作設定では「純粋な剣の腕では作中最強」という公式設定で接近戦のスペシャリストだったのにどうしてこうなった。 必殺技は当てて良しガードさせても相手との距離を離せる「颪(おろし)三連」、強は発生は遅いものの全キャラ中最長の無敵時間を持ちコンボにも組み込める切り返し技「雀刺し」、ほぼノーモーションでボタンに対応した方向を一閃する「石花/春雷/痺れ鯰」など見所のあるものが多い。 要するにゲーム内容に対して真っ当なキャラ過ぎてミスマッチな性能になってしまった。このザマは同じ乱世を生き、「原作では人気キャラ」「刀の使い手」「元農民」という点も共通する某主役を彷彿とさせる。 桜 個々の技性能こそ優秀な部類に入るものが多いが、キャラクターの項で述べたパラメーターの三重苦が厳しい。特に火力格差は恐らく作中ワーストクラスであり、体力の低さと相まってすぐにリードを奪い返される。「苦労してフルコンボを決めたが、一瞬のミスで即座に体力差を逆転された」という場面はザラにある。 一応前述の補正切りを利用した高火力コンボはあるが、ゲージをかなり吐いてしまうためほぼトドメ専用。他のキャラクターのように手軽に火力をたたき出すことはできない。 ワープ技はあるがそれなりに隙があり機動力も低いので、飛び道具を持つキャラに対しては近づくことさえ一苦労である。逃げに入ったアーチャーや、要塞と化したギルガメッシュなどには絶望するしかない。他に士郎、ライダー、バーサーカー辺りにも苦戦を強いられる。 強みである起き攻めはキャスターに比肩するバリエーションの豊富さとえげつなさを誇り、飛び道具を絡めた起き攻めは開放抜けすら許さない。そのためペースを握り続けられれば起き攻めでハメ潰せるが、どんなに抜け難くても起き攻めは所詮起き攻め、確実ではない。 + 二強(ランサー、ギルガメッシュ)の場合 ランサー 個々の技が優秀な上に、機動力やゲージ回収、崩しなど、隙がほとんどない盤石の強さを持つ強キャラ筆頭。弱点があるとすれば平均クラスに甘んじた火力と、超必殺技「刺し穿つ死棘の槍」がゲージ200%消費であることから来るゲージ管理の難度くらいのもの。 このキャラが最強の座に君臨している理由は「基本要素の全てがハイスペック」だからである。列記すると… 最大クラスのリーチの長さ×セイバーなどに比肩する出の速さを誇る通常技。この長大なリーチの牽制技がかすりでもすれば即コンボへ招待。リーチの長さと素早さ故に、相手がアドバンシングガードなどで距離を離してもすぐに追い付いて自分の間合いに直行する。 空中から繰り出される突進技「レッド・ブランチ・ウルズ(B版)」を用いた、人間にはほぼ見切れない高速の中段技。これもヒット時の状況次第でコンボへ移行可能。 投げから安定して追撃が可能。投げのダメージ補正は若干重いためコンボダメージは落ちるが、それでも崩しから相手ゲージ減少を含めた一定のリターンを見込めるのは強力。 低姿勢で相手に向けて突進する移動技「レッド・ブランチ・エワズ」。これ単体でも一部の飛び道具をくぐって相手に接近できる(=飛び道具持ちキャラを咎められる)。しかもそこから派生行動「レッド・ブランチ・イス」で急停止して隙を消して崩し・固めに持ち込んだり、相手を打ち上げる「レッド・ブランチ・カノ」「レッド・ブランチ・ティール」を使えば画面端から遠くてもJCCを利用しループコンボが可能。 頭上で槍を振り回す対空技「レッド・ブランチ・エイワズ」。その中でもゲージ30%消費のC版が強力で、「発生・判定に優れ無敵も長め」「単発火力も高くその上RCや開放キャンセルで追撃可能」「多段ヒットするためゲージ回収率も良好」「魔力開放中は出し切りから超必殺技『刺し穿つ死棘の槍』に繋がる」「命中すると相手の魔力ゲージを減らすC昇龍技」と破格すぎる性能を持つ。 空中超必殺技「突き穿つ死翔の槍」。低空で当てることで「大ダメージを与えつつ、自分は先に着地してコンボを継続できる」コンボパーツに化ける。 超必殺技「刺し穿つ死棘の槍」はゲージ200%消費で使いづらいことは前述したものの、研究が進み「魔力開放中の間はゲージ使用技の全てが、ゲージ不足でも1回だけ(=開放終了する代わりに)発動できる」という仕様が発覚したことでその弱点さえ完全ではないがカバーできるようになってしまった。 また、万能キャラながら操作やコンボも比較的簡単な部類で初心者にも非常に動かしやすい。 余談だがジョークに定評のある原作者も、後に本作のランサーの壊れっぷりをネタにすることは忘れなかった。 ギルガメッシュ モードチェンジを利用した高火力のコンボに補正切りと、火力のポテンシャルは最高級。強力な飛び道具・設置技が使えるバビロンモードを主軸に立ち回りつつ、要所でエアモードを使うことでスキのない立ち回りが可能。 その強さを支える名助演が設置型飛び道具「天の鎖」である。コマンド入力時のボタンホールドでギルガメッシュの周囲に待機し、ボタンを離すとほぼノーモーションで飛んでいくため基本の隙は0。飛び込んでくるキャラへの牽制やコンボパーツなどほぼ万能の活躍を見せ、まさに劇中通り「英雄王最大の友」と言える、ギルガメッシュを象徴する宝具・技となっている。 主に両モードに対応した214+弱or中の「天の鎖」(弱版が横に払って軸移動を潰し、中版は縦に薙いで上下動を潰す)、そしてバビロンモード専用の高性能飛び道具「冥府の門(エイルラガル)」を組み合わせてのシューティング状態は強力無比。ギルが本気でシューティングに徹すると、桜とバーサーカーはほぼ詰む。 「冥府の門」は弾速も速い他、斜め上・水平・斜め下と撃ち分け可能、さらに「武器(宝具)を束にして打ち出す」ためかなんと「10Hitの攻撃判定の塊」となっているため、他の飛び道具を一方的にかき消して進んでいく。その分ヒット数とダメージは減るが、飛び道具で撃ち負けることがないというメリットの前には些細。 弾幕と鎖をくぐり抜けられたとしても、エアモードに換装すれば一方的にやられることはまずない。モード切替共々魔力ゲージを消費するが、高性能な切り返し技「乖離剣・天(アンシャル)」も有しており、更に状況は限られるがその乖離剣・天からコンボ始動することもできるので、ゲージを残せれば切り返しからターンを取り返すのも容易。 その上、他キャラとは一線を画す強みとして「ループコンボを超えた本当の永久コンボ」を搭載している。一応魔力開放で脱出はできるが、「相手に魔力開放による大量ゲージ消費を強いる」という非常に強い意義があるので、開放抜けをしてもギル側の思う壺。開放されなければC天の鎖でコンボを締めて結局体力とゲージを奪ったり、さもなくば補正を切った超必殺技で殺し切ったり…とコンボの選択肢も豊富。 極めつきに「『乖離剣・天』の2段目を特定の状況でヒットさせると、相手の魔力ゲージを通常より多く減らせる」というバグ技まで持ち合わせており、これもコンボ難易度こそ高いが実戦レベルで使用することが可能。 一応の弱点として、ノーゲージでの切り返しがなく機動力でやや劣り、エアモードに戻れなければ切り返しはガードキャンセルに頼るしかない。さらに「ゲージマネージメントの難度や永久コンボを続けるためのコンボ精度、鎖をホールドしたまま立ち回れる指さばき」と様々なことをプレイヤーに要求するため「強いが、真の強さを引き出すためにはプレイヤースキルが必須」のキャラクターとなっている。 原作でもギルはサーヴァントの中でも最強クラスである破格の存在とされているが、その極めて傲慢かつ尊大な性格故にマスター/魔術師にとって扱いにくい英霊でもあった。そういった意味でも原作再現度を高めていると言える。 + 二強次点(セイバー、凛)の場合 二強の超高性能の影に隠れて目立たないが、次点の2人も常識的な格ゲーを基準に考えれば十分すぎるハイスペックの持ち主である。 セイバー 二強のようなハッキリとした壊れ技は持っていないものの、原作で「最優のクラス」と評された安定的な強さが今作でも表現されている。中でも前述した「ストライクループ」「エルフィンループ」など強力なコンボによるゲージ回収能力が強み。 リーチこそ並程度で飛び道具も持たないが突進技・対空(切り返し)と技は一通り揃っており、中段択もあるため接近戦での強さはお墨付き。また、突進技「ファーストエア」は原作でセイバーが持つスキル「対魔力」を反映して(*5)「突進中は魔術系の飛び道具をかき消す」という特殊効果を持っているため、飛び道具による安易な「待ち」の戦術は通用しない。 飛び道具が魔術系しか無いキャスターは、原作通りセイバーに苦戦を強いられる。設置技は流石に通じるが、後述の「全て遠き理想郷」も合わせて、キャスター側としては安易な待ちをさせてくれない天敵の一人である。 そしてセイバー、ひいては本作を象徴する最大の武器がループコンボ「ストライクループ」。超必殺技「風王鉄槌(ストライク・エア)」自体は竜巻を纏った切り上げという単純な攻撃技…に見えて「コンボ補正によって累積していた重力の増加・技によるバウンド効果の制限を必ずリセットする」という地味に凶悪な特性を持つ。…つまり、ゲージさえあれば「適当なコンボルートで壁際まで運ぶ→風王鉄槌で重力リセット→コンボ継続…」というループが成立する。ゲージ量によっては二回目、三回目の風王鉄槌を繰り出して長時間のループコンボを行うことも可能。 ストライクループはダメージが高いほか、拘束時間が長いため判定勝ちを狙いやすい。「やっとの思いでセイバーからターンを取り返したが、残り時間が足りず体力差を逆転できずに判定負け」という光景も珍しくなかった。 さらに研究が進むと、ストライクループからの派生ループコンボとして、コマンド入力で後退しそこから攻撃ボタンで派生技を繰り出す「エルフィンダンス」を利用した「エルフィンループ」が開発された。エルフィンループは既存のコンボよりダメージもゲージ回収率も高く、これによって「ストライクループに移行→エルフィンループで使ったゲージを回収→コンボを完走して読み合いからもう一度ストライクループ…」というサイクルが成立する。 3種の超必殺技にも死に技がない。先述の風王鉄槌はもちろん、極太のビームを剣から放つ彼女の代名詞「約束された勝利の剣」も「発生が遅く無敵もないが、画面端まで一瞬で届く」「相手が空中にいれば自動的に空中へと射出方向を修正」「魔力開放中に放った場合一度だけゲージ消費ゼロで発動可能」という高性能を誇る。 残る一つの超必殺技「全て遠き理想郷」はカウンター技(いわゆる当て身系超必殺)なのだが、これも「飛び道具もカウンター可能」「地上同士なら必ず相手に接近して反撃、そこからコンボ始動可能」「相手が空中なら『約束された勝利の剣』で大ダメージ(その代わりコンボ始動は不可能)」という凄まじい性能。このため1ゲージ以上を持っているだけで飛び道具に対する強い牽制となり、前述のファーストエアとの合わせ技で、相手の安易な飛び道具による牽制行動を咎められる。 欠点は並程度のリーチ故に自分より長いリーチの相手には技の振り合いで若干不利がつくことと、ストライクループは自分のゲージも増加させるが相手にもダメージ相応のゲージを献上してしまうこと。また、ストライクループは壁際でないと成立しないため、広さのあるステージや、外周が円形になっているためコンボ中に軸がずれると相手が壁際から外れてコンボがやりにくくなる「アインツベルンの森」などのステージでは若干立ち回りが制限される。 強みのエルフィンループも「二種の技をJCCを使って連続で当て続ける」という単純なコンボではあるが、JCCを含めたコマンドを短時間で連続入力しなければ相手を落としてしまう上、ヒット数増加に伴う重力増加を考慮して入力タイミングを調整しなければいけないため難易度は高い。 また超必殺技は総じて高性能ではあるが、セイバー側としてはダメージソースであるストライクループにどうしてもゲージを使いたいので「高性能ではあるが、気軽には使えない」というジレンマがある。 遠坂凛 リーチこそ短いものの機動力が高く、飛び道具も有する万能キャラ。 宝石を使う飛び道具には20発の弾数制限があるが、制限の代償に性能は高め。シューティングに弱いキャラにとっては宝石をまいて牽制されるだけでも割と鬱陶しく、相手を凍結させる中版「宝石魔術」や「アイスグレネード」、相手をダウン状態で打ち上げる「エアグレネード」などヒットからのリターンも大きい。ヒット時の距離が近ければここからコンボを始動することも可能。 元々の体格が小柄な上、しゃがみ・ダッシュでかなり姿勢が低くなり、しゃがみ中・強など攻撃でも低姿勢になるので相手の飛び道具の下をくぐって進んでいけるという独自のメリットも。シューティングが基本戦術となるギルガメッシュの「冥府の門」「天の鎖(623中版)」もくぐれるため、ギルガメッシュの「バビロンモード中は切り返しが弱すぎる」という弱点を突きやすい。 そして凛の代名詞が、前述の補正切りを活かした圧倒的な爆発力。ゲージ消費こそ荒いが、様々なコンボから補正斬り超必殺技に繋いで大ダメージを奪うことが可能で、条件次第では「コンボで壁際まで運ぶ→補正切り超必殺技『カッティング・セブンカラーズ』→そのセブンカラーズから更に追撃してコンボを伸ばす」という凄まじいコンボも可能。半分魅せの領域になるが1コンボに超必殺技を2度組み込むという大盤振る舞いまで可能。 師匠の言峰同様、コンボにC版「連環腿」を組み込めばダメージを与えると同時にゲージも削れるため、ダメージも含めてワンコンボのリターンが大きい。更にランサー同様投げからコンボ始動できるため、接近戦でのプレッシャーは大きい。 欠点はやはり徒手空拳ゆえのリーチの短さと、中段択を持たないこと。また、宝石を使う技は立ち回り・コンボ・補正切りと様々な用途で用いられるため、宝石が切れるとかなり弱体化してしまう。 ただし本作の試合ペースではよほど無駄撃ちしたりグダらなければ、1ラウンド20発は早々使い切らないだろう。 二強・二強次点を除いては、ループコンボによるゲージ削りと読みにくい起き攻め連携を併せ持つライダー、崩し能力と画面端での爆発力を持つ言峰などを中堅上位あたりに推すプレイヤーが多い。 なお、ダイヤ最下位の三弱と上位二強~二強次点以外はプレイヤーの間でも今なお意見が割れるので、ここでは詳しい解説は割愛する。 家庭用ではゼロランサーも抜きん出た性能を持つため三強になっているが、アーケードでは使えないために研究が進んでいないので詳細はやはり割愛。 登場キャラクター選別について どのキャラも人気が高く、また容量的にも『stay night』のサーヴァント全員を網羅できる余地はあったためだが、「なぜこのキャラを登場させなかった!」という声はどうしても挙がってしまう。 これは高い人気を誇る原作の対戦ゲームが抱える宿命のようなもので、誰もが納得出来るキャラ選定は非常に難しい。 とりわけ「真アサシン」の未登場には疑問の声がたびたび上がる。彼が未登場だったのは原作の隠しキャラ的な位置づけ(*6)以上に「特性および能力(気配遮断、主に使うナイフ投げは牽制で、主力は罠と敵を呪殺する宝具。正面対決ではsnのサーヴァント中最弱)的に格闘ゲームには出し辛い」という理由もあろうが、それでもなお出演を望むファンも多い。Fate/stay night本編に登場したサーヴァントの中では唯一の格ゲー未登場となった。 一部のファンは原作での彼の能力をネタに「真アサシンは気配遮断して登場の機会を窺っている最後の解禁キャラ」「気配遮断のしすぎでスタッフに気づいてもらえなかった」などと笑いの種にしたものの、真摯なファンには笑い事では済まされないブラックジョークであった。とはいえネタにしたファンたちも、心の底では彼の登場を願っていたことだろう。 その他、原作では戦闘シーンもあった葛木宗一郎(キャスターのマスター)も操作キャラクターとしては登場していない。 同じ「格闘技メインで戦うキャラ」というポジションには凛・言峰・ルヴィア・バゼットなどライバルが多すぎ、さらに彼女らには投げ技やカウンター技といった格ゲーで映える個性まで持っている。それに対して宗一郎は「特徴的な技を持っていない」「人間離れしてはいるが、魔術師ではない一般人である」と、差別化も原作再現も難しかったためオミットされてしまったのかもしれない。原作だけで言うならルヴィアよりもかなり印象的なキャラだったが…。 通常版の間桐桜を出して欲しかったという意見もあった。 評価点 平等な勝負に耐えうる対戦ツールとしては、本作は決して「良いゲーム」とは言い難い。 しかしこのゲームはただのコンボゲーではなく、ファンから評価される部分も多々存在する。 原作愛 『AC北斗』がそうであったように、とにもかくにも原作再現要素が盛りだくさん。キャラの掛け合い・演出や性能など原作を反映したものが多く、ファンを大いに喜ばせた。 一部を列挙すると… 各キャラの超必殺技のモーションやカメラアングルは、本作のオリジナル技を除いては原作のCGを意識したものになっているものが殆ど。原作のあるシーンの再現技になっているセイバーの「全て遠き理想郷(地上版反撃)」や、2006年のアニメ版初出の「干将・莫耶オーバーエッジ」が決め技になっているアーチャーの「鶴翼三連」、技の代名詞である「槍の軌道が『曲がる』ワンカット」が挿入されるランサーの「刺し穿つ死棘の槍」など。 原作の技の性質通り、近距離で発動するとガードや無敵を貫通し必ずヒットするアサシンの「燕返し」 「相手を何度も追尾する剣」という性質により、回避・ガードされても画面外から往復してくるアーチャーの「赤原猟犬(フルンディング)」 「無限の剣製」を発動させることで、専用の背景/BGMに切り替わると言ったロマン要素もある。 「宝具『全て遠き理想郷(アヴァロン)』(*7)を埋め込まれている」という設定から、MAX魔力解放時の体力回復量が多い士郎 必殺技面でも、原作を再現してバーサーカーの「十二の試練」によるアーマーを7回分消費させる「勝利すべき黄金の剣」や、対言峰限定で聖杯必殺技の演出が変化するなど作り込みが細かい。 ギルガメッシュの「天地乖離す開闢の星(エヌマエリシュ)」はセイバーの「約束された勝利の剣」を一方的に相殺し打ち勝つ。他にも対セイバーのみ投げモーションが劇中の一シーンを再現した専用のものになり、セイバー側が投げ抜けに成功したときまで専用のモーションが用意されている。 連続技(デッドリーレイヴ)形式の聖杯必殺技「天地波涛す終局の刻」は、一部の相手(「神性」スキルのランクが一定以上=神にある程度近い存在)だとフィニッシュの演出内容が変化する。 一方、細かい部分を見ると違和感の残る部分がなくもない。三つの斬撃を同時に放つアサシンの「燕返し」の演出が同時ではなく三連続の軌道になっていたり、男性キャラの身長がほぼ同じだったり(*8)、また「ギルガメッシュが「乖離剣エア」を使うのは余程の強敵のみ」「エアは便宜上『剣』と呼ばれているが厳密には剣ではない」という設定(*9)にもかかわらず、ラウンド開始時のギルはどのキャラが相手でもエアモードになっており(これはギル優位が加速しかねないのでゲームバランス上仕方ない)、エアを剣士のように振るって戦うなど、やはり格ゲーに落とし込むにあたって細かい齟齬はどうしても存在する。 ちなみに、TYPE-MOON側が担当したデザインは、ゲーム外のポスター、パッケージ等のメインビジュアルとキャラクター選択画面の全身イラスト、会話用フェイスイラストのみ。 その他EDイラストなどはカプコン側の製作だがかなりそっくりに仕上がっており、原作ファンをして「スタッフは投影魔術を使ったのではないか」(*10)とまで言わしめた程。 こうした本作のキャラ演出は、後発のFateシリーズにも確実に影響を及ぼしている。 主人公勢以外のifルートの完成度の高さ この手の格闘ゲームの常として、ストーリーや脚本などはあまり重視されない傾向にあるのだが、この作品ではファンも納得の本編のifを見事に描いている。 中でもランサーとキャスターのルートは、演出および声優の熱演とも相まって原作ファンも納得の出来である。 王道展開はもちろん、キャラによっては原作の殺伐とした雰囲気はどこへやらのネタルートも存在している。 世紀末らしさ これも『AC北斗』や『戦国BASARA X』などがそうであったように、逆に開き直ったまでのゲームバランスに惚れ込んでしまった人間は少数派ながら存在する。 実際各地の大会でもランサーやギルガメッシュが席巻していたわけではなく、全盛期には多くのキャラ、そして使い手が各地の大会でトップに立っていた。 「ギルガメッシュ対バーサーカーor桜」などほぼ詰みに近い対戦カードやほぼランサーの劣化的な立ち位置のアサシンなど、ゲームバランス的に擁護できない部分はあるものの各々が様々な"飛び抜けた強み"を持っているため、強キャラであっても油断はできない。他の世紀末ゲーム同様「ワンチャンから逆転できる要素を各々が異なる形で持っている」と考えれば、バランスは取れている…と言えなくもない。 そしてコンボ開発も盛んで、実戦向けのコンボ以外にもいわゆる「魅せコン」の研究も盛んに行われた。コンボムービーなども数多く投稿されており、超シビアな繋ぎやバグを利用したコンボは見ているだけで楽しめる。 ニコニコ動画では、これら神業クラスのコンボムービーには原作の用語からとって「封印指定」のタグが付けられていることも多い(*11)。 BGM BGMはベイシスケイプが手掛けており、既存曲のアレンジ、新曲ともに評価は上々。 総評 原作再現など光る部分も多々あったが、コンボゲーの道を行き過ぎたが故に格ゲー初心者からは敬遠され、格ゲー経験者の大半からもバランス崩壊っぷりに愛想を尽かされ見限られてしまった惜しい作品。 現在でも少数のゲーセンやガチ勢によるやりこみこそ続いてはいるが、稼働開始直後はインカムがまったく振るわず、ゲーセンからは早々に姿が消えてしまったというのが実情である。2008年当時はすでに出来のいい格闘ゲームがゴロゴロ登場し、そしてリバイバル稼働も見られ始めていた頃だったので、それらを超えた人気を獲得するには至らなかったのだ。 しかし、続編を期待する声もある。バランス、システム面の調整は勿論のこと、真アサシンや別ルートの士郎(*12)の参戦の他、ランサー以外の『Zero』キャラなどを加えた作品の要望もあった。それゆえ本作が尖った作品となり、結果格ゲーとしての続編制作の可能性が低くなってしまったことが一層悔やまれる。 Fate/unlimited codes (PS2版) 【ふぇいと あんりみてっどこーど】 対応機種 プレイステーション2 発売日 2008年12月18日 価格 通常版 7,340円 / 限定版 10,490円 レーティング CERO B(12歳以上対象) 廉価版 Best Price! 2009年12月3日/2,990円 判定 ゲームバランスが不安定 Fate/unlimited codes PORTABLE 【ふぇいと あんりみてっどこーど ぽーたぶる】 対応機種 プレイステーション・ポータブル 発売日 2009年6月18日 価格 通常版 5,240円限定版 6,240円(eカプコン専売) / 9,240円(Amazon専売) / 8,980円(ソフマップ専売) 廉価版 Best Price! 2010年2月18日/2,990円 判定 ゲームバランスが不安定 ※データは相違点のみ表記 概要(移植版) 長く遊べるミッションモードやミニゲームの追加、新規キャラとそれに伴うBGMやステージ、各キャラのエクストラカラーなど多数の追加要素があるため、実に気合の入った移植と言える。もちろん原作再現要素はAC版同様抜かりない。 発表と同時に新デザインされたセイバーのEXカラー『セイバー・リリィ』はほぼ別キャラのような格好になっており、限定版にはfigmaが同梱された。 問題点(移植版) ゲームバランス しかし、スタッフは家庭用に際して調整を行わなかったばかりか、追加キャラによって世紀末聖杯戦争の勢いを加速させてしまった。 調整に関しては「移植」なので仕方ないかもしれないが、「バランス調整を放棄した」と思われても仕方ない追加キャラ勢の強さには批判の声もある。 + さあ(世紀末)聖杯戦争を続けよう ゼロ・ランサー リーチ・火力・本体の性能・各種通常技・必殺技と隙がなく、家庭用追加キャラゆえあまり研究は進まなかったものの、プレイヤーからは「二強に匹敵する強さ」と評価される。 コンボ中のスーパーキャンセル補正を受けず、相手のゲージを大幅に削る超必殺技「破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)」や、ゲーム最高の性能を誇る突進技など、とにかく各種技がハイスペック。 突進技の強力さから「画面の半分以上がゼロ・ランサーの間合い」と言っても過言ではない。しかも命中すればコンボに移行可能で、相手の体力・魔力ゲージをガリガリ削っていく。 一部のモーションはランサーから流用されている。強キャラに近い動きをする以上、強いのもある意味当然と言えるかもしれない。 セイバー・オルタ ルヴィア、ギルガメッシュに比肩する壊れた火力と、本家セイバーに勝るとも劣らぬラッシュ能力を持っている。突進技や飛び道具を利用した見切り困難な起き攻め二択や、確定ダウンを奪え(=起き攻めに持ち込める)、かつコンボに利用出来る投げ技、魔力開放による脱出をさせない高威力のコンボなど、機動力以外は圧倒的な高性能を持つようになった。隠しボスキャラ扱いでも違和感がない。 バゼット・フラガ・マクレミッツ 確かにラッシュ能力は驚異的でコンボ性能も高いのだが、「リーチが短くアドバンシングガードに弱い」「唯一の飛び道具が専用技『アンサラー』で設置する手間がかかる上弾数制限あり、しかも設置と発動がゲージ必須&その『斬り抉る戦神の小剣』はコンボにも使うためおいそれと使えない」「同じ徒手空拳タイプのキャラである凛や言峰と違い、投げから追撃できない」「中段がなく崩しに難儀する」と、長所よりも短所が大きく目立ってしまう。 『斬り抉る戦神の小剣』を絡めたコンボは強力なのだが、そこに到達するまではかなり困難。リーチの長い相手やシューティング系のキャラと当たった日には悲しみを背負うハメになる。こちらも家庭用追加キャラゆえあまり研究は進まなかったが、プレイヤーからは「3弱と同格、3弱以下もありえる」と評される。 一応、「壁際限定で半永久的に連続ガードになる連携がある」という小ネタは持っているものの、そもそも近づけないと実行できない上アドバンシングガード一発で無力化する。 リーゼリットも「固めと崩しに難儀する技性能」「機動力に劣り各種技の出が遅い」ことから弱キャラとみなされることが多い。 例外として、セイバーの「魔力開放中、『約束された勝利の剣』を一回だけゲージ消費ゼロで撃てる」という部分だけは修正され、ゲージを消費するようになった。このことから「AC版の『約束された勝利の剣』の仕様は設定ミスだったのでは」と言う説がある。 PSP版はさらに「超必殺技のキャンセル補正の撤廃」「聖杯必殺技のダメージ増加」というもっと開き直った調整のためにAC版・CS版を超える世紀末ゲーになっている。 一部のキャラは調整されて既存のコンボがある程度使用不能になっており、一応バランスを取る努力はしていたようだ。しかし調整もむなしく短期間で代替コンボが発見されてしまい、その努力は水の泡となってしまっている。 また、今回もやはり追加キャラの選定基準に疑問の声が上がった。格闘戦を主体とし外伝の顔でもあったバゼットや、原作最後のルートにおいて強敵として立ちふさがったセイバー・オルタはともかく、「なぜリーゼリットとゼロ・ランサーなのか」という疑問を持ったファンは多かった。 「当時盛り上がっていた『Fate/Zero』からもっとキャラを出して欲しい」という声もあったし(*13)、それこそ「真アサシンまだ?」というファンの悲鳴もあった。やはりキャラ選定は難しいものである。 システム面 「ミッションモード」という指定された内容をクリアしていくモードは多種多様な題目が有り、その中にも「コンボを成功させろ!」といった最近の格ゲーでおなじみの内容の題目がある。 また、簡易的だが今作のテクニックを紹介する「チュートリアルモード」も存在しているが、この両者でJCCについて触れられている。 ミッションモードの全クリア難易度はかなり高いものとなっており、やりこみプレイヤー以外にはコンボレシピから条件までひと目でドン引きするようなものも存在する。 とは言えミッション制覇による重要な解禁要素はほとんどない。もしこのミッションモードに重要な隠し要素の解禁条件が絡んでいたら、それこそブーイングの雨嵐だったに違いない。 評価点(家庭版) 移植にあたり採用された、タイナカサチの歌う主題歌「code」は好評。 EXミッションが各キャラ専用のミニゲームとなっている。内容は敵を倒してスコアを稼ぐオーソドックスな3Dアクションから本格的なSTGなど多種に渡るが、原作の関連シーンをネタにしたカオスなものも(ビンタ合戦とか激辛麻婆豆腐の早食いとか)。小ネタ満載の清涼剤であり、ファンならニヤリとすること請け合いである。 総評(PSP版) PSP版はPS2版から更なるアレンジやバランス調整などが加わった「Ver1.5」といった趣。 コンボコマンドの簡略化が行われるなど格ゲー初心者にも嬉しい調整がされた(依然としてハードルが高い位置にある感は否めないが、AC PS2版よりは遥かに簡単)。 ただ、慣れ親しんだコマンドではなくなったこと(コンフィグで戻すこともできない)を批判する従来からのプレイヤーも多い。 余談 ソーシャルゲーム『Fate/Grand Order』では不定期的に、本作にも登場しているサーヴァントは本作の技/モーションに準拠したアニメパターンを逆輸入するアップデートを数度に分けて行っていた。 2018年7月26日に新たにFateシリーズのアーケードゲーム『Fate/Grand Order Arcade』が稼動された。 本作とは別の企業が手がけジャンルもTCAGとなっている。